感情を失った手毬花 5【ブルーロック】 (ページ7)

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後半も残り30分。

乙夜くんが下がり、馬狼くんが入ることになった。

馬狼くんのプレイはかなり特異だと思う。

何故なら彼は、“自分がシュートを打つためには味方から奪うことも惜しまない”人だから。

そんな意味合いも込めて“切り札(ジョーカー)”なんだろうけど。

ーー

試合が再開し、早速ブルーロック陣は動き出す。

最初はいつもの潔くんと凛くんのパス回しーー、だったけど。

潔くんが敵にボールを奪われそうになった瞬間ーー、彼は現れた。

潔くんにパスを出したはずのボールをーー、馬狼くんが奪ったのだ。

それは正に、敵も味方も予想できない行動。

案の定、敵に塞がれても一切パスを出す様子がない。

更に、シュートかパスか分からない動きで相手を惑わしている。

が、余りにもシュートしづらい場所にいたからか、彼の蹴ったボールは鈍い音を立ててゴールポストに当たる。

こぼれ球は近くにいた雪宮くんに渡る。

それからの彼の動きは先程までとは段違いだった。

敵と味方の間を抜けるように行うドリブル。

遠くからじゃ殆ど見えないくらいの細かいタッチ。

もしかして今、彼は“FLOW”に入りかけている？

そう思えるほど、速いドリブルだ。

やがて彼は、シュートを撃った。それも、無揚力蹴球(ジャイロシュート)を。

確実に入ると思ったシュート、それはーー。

『……！？』オリヴァさんによって止められた。