感情を失った手毬花 5【ブルーロック】 (ページ50)

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ーー
氷織くんの家を出て、私は彼に言う。

『ありがとう、氷織くん』

氷織くんは優しく笑って首を振る。

「感謝されるほどのこと、してへんよ」

『それでもーー、嬉しかったから』

私の言葉に氷織くんはそっか、と呟いた。

『じゃあ、また』

私はそう言って歩き出した。

……きっと、氷織くんとの関係は他の人にとっては少し歪に見えるかもしれない。

言ってしまえば、この状況は“お互いの傷を舐め合っている”だけだ。結局、根本的な問題は解決されていない。

それでも……、少しは楽になるんじゃないか？

どれだけ苦しいことがあっても、誰かに吐くことができたら、自分を保つことができるんじゃないのかな？

私はそう思いながら顔を上げる。

明日からマネージャーの仕事が再開する。

頑張ろう、皆のためにも。

私は再度決意した。