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『ひ、氷織く……』「ずっと使わんかったけど、今使ってもええ？Aちゃんのポイント」
私のポイント……？
『それ、って……、私の仕事を手伝ったりしたら貰えるポイントのこと？』
恐る恐る尋ねると、氷織くんはニコリと笑い、肯いた。
「やっと集め切ったんや、ーー100ポイントを」
『……！』
100、ポイント。私の“過去を聞く”ことのできるポイント数……。
「僕も先刻気が付いたんやけど、どうやらブルーロック内におらんくてもポイントを稼げる仕様やったみたいや」
その言葉に、心臓の鼓動が気持ち悪いほどに速くなる。
『それって……、今まで優しくしてくれたり、相談に乗ってくれたりしたのは全部ーー』
嘘、なの……？
氷織くんは私の言いたいことを察したのか、小さく首を振った。
「そんな訳あらへん。Aちゃんにしたこと全部、本当に思っとるからできたことや。Aちゃんは僕のこと“優しい”って言うけど、全然優しくあらへんし」
『……そんなこと、ない……！氷織くんも、他の皆だってすごく優しくて……、優しすぎるから、私の全部吐き出してしまいそうで……、怖くて……』
私の口からは滅茶苦茶な言葉が生まれる。
「Aちゃんは、何が怖いん？」
『私は……』
私が、怖いもの……。それはーー。
『……っ』思わず俯く。
言えない……、こんなこと、言える訳ない……っ。
「……Aちゃん」
声が掛けられた、瞬間。
『……！』氷織くんに抱き寄せられていた。
細く、でもしっかり筋肉のある体の体温が伝わってくる。
「ここには、君を非難する人間も、笑う人間もおらんよ。僕だけしかおらん。やからーー、話してくれへん？」
ああ……、何で、貴方は……。
『ーーっ』
何で……、貴方達は……。
『……ふっ、うっ……、ぅ、っ……』
喉から今まで出たことのない嗚咽が漏れる。
汚い、下手くそな泣き声。
『なん、でっ……。なんでぇっ……！』
氷織くんの肩に顔を埋めて震える。
氷織くんは、そんな私の頭を、背中を何度も撫でる。
ずるい、ずるいよ……、こんなの。
『あ゛、ああっ……、う゛ぁぁぁぁ……！』
こんなのーー、隠せる、わけない……。
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作者名：メビウス | 作成日時：2023年9月29日 23時
