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まず最初に氷織くんと訪れたのは、かなり膨大な植物園。
室内に色々な種類の花が咲いていて、入った瞬間華やかな香りが鼻腔をくすぐった。
『すごい……、冬なのに夏の花がある……！』
「室内で温度調節して育てとるみたいやねー」
氷織くんがパンフレット片手にそう言う。
私は横から彼の持つパンフレットを覗き込んだ。
どうやらエリアが分かれており、季節ごとの花や、珍しい花、観葉植物のスペースがあるらしい。
「Aちゃんはどこか行きたいとこある？僕はこのまま適当に歩くのでええけど……」
氷織くんの問いに私は笑いながら答えた。
『私も氷織くんと同意見』「ほな、ゆっくり回ってこか」
私は氷織くんと笑い合い、歩き始めた。
ーー
それから植物園の中を歩いて1時間。
私と氷織くんは現在、途中で見つけた売店に入っていた。
植物園らしく、花の装飾品や、小物などが売られている。
思ったよりレパートリーあるんだな……、と感心していると。
「Aちゃん」名前を呼ばれて後ろを振り返れば。
ふわり、と香る花の香りに目を瞬かせた。
目の前には氷織くんがいて柔らかく微笑みながら何か持っている。
『氷織くん……？今持ってるのって……』
私がおずおずと尋ねると、氷織くんは私の前に持っているものを見せた。
そこには、“アロマバスオイル(ユリ) ”と書かれてある。
「ええ香りやー、と思って見本の物を持ってきたんや。Aちゃんはどう思った？」
『……うん、ユリの香り、なんだね。すごくいい香り』
私も彼の意見に賛同する。
と、氷織くんは何故か少し恥ずかしげに眉を下げて口を開いた。
「Aちゃんがよかったら、なんやけど……、僕からもらってくれへん？いつものお礼として」
『えっ……！』
予想外の言葉に思わず声が漏れる。
まさか、そんなことを言われると思ってなかった。
でも……。『ーーありがとう。勿論、氷織くんがそう言ってくれるなら』
私の言葉に氷織くんはホッとしたように肩を落とす。
と、そこで慌てて付け加える。
『あ……！じゃあ私も氷織くんにいつものお礼としてプレゼントしてもいいかな？』
「勿論、ええよ。おおきに、Aちゃん」
ゆっくりと頷いた彼に、私も自然と力が抜けるのを感じた。
私も、氷織くんにはお世話になってるから。
後述:アロマバスオイルのプレゼントの意味「いつも頑張っているから、リラックスしてね」
ユリの花言葉「純粋•無垢•威厳」
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作者名：メビウス | 作成日時：2023年9月29日 23時
