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「おいまだ決着ついてねーぞー。ボウリング延長戦なー」
オリヴァさんの言葉にふと、スマホで時刻を確認した。
既に5時近く。私は慌ててオリヴァさんに告げた。
『……あの、私もう直ぐ帰らないといけなくて。抜けても大丈夫ですか？』
と、私の言葉に反応するように、潔くんが隣に来た。
申し訳なさそうに両手を合わせて言う。
「ゴメン、愛空。俺ちょっと別の友達と会う約束してて……」
潔くんも、か。
ーー
私が帰りの支度をしていると、途中、潔くんに声を掛けられた。
「えっと、マネージャー。ついでだし、駅まで一緒に歩かない？」
私は顔を上げながら答えた。
『うん、いいよ』
さすれば、嬉しそうに笑う潔くんに、私も思わず頬を緩めた。
ーー
ボウリング場を出て、駅までの道のりを潔くんと並んで歩く。
『今日の潔くん、最初から最後までずっと楽しそうだったね』
私の言葉に、潔くんは照れ臭そうに頬を掻く。
「うん、まぁ……、久し振りに外の空気吸えたし、ブルーロックのメンバーで遊べたし、今日は本当に楽しかったよ」
それで、と私の方を見ながら続ける。
「マネージャーは楽しめた？今日」
私はしっかりと頷く。
『うん、こんなに大人数で遊びに行くのって初めてだったからすごく新鮮で……。私を誘ってくれてありがとう』
「えっ、いやいや！お礼なんていいから……、それに……」
そこまで言って、彼はどこかやりづらそうに目を伏せる。
そして、意を決したように目を強く瞑った後。
「マネージャー。一つ、聞いてもいいか？」
真っ直ぐに私を見てはっきりとそう言った。
つい先刻、似た目つき。……千切くんの時と同じ、目つき。
私は嫌な予感がしつつ、無言で頷く。
「あの、さ。マネージャー、
彼の問いを聞き、私は目を細める。
『……千切くんと同じこと、聞くんだね』
ブルーロックの人は、やけに勘がいいな……。
そんなことを思いながらニッコリ笑う。
『うんん、何もないよ。心配掛けちゃって本当に御免ね』
暗い思いを隠すように、ゆっくり、慎重に言葉を紡ぐ。
そんな私を見て、潔くんは眉を下げて何か言おうと口を開く。
が、その言葉は発されることはなかった。
無理に明るく笑って言う。「……そっか、御免な、変なこと聞いて」
『うんん、気持ちは嬉しいから』
私も笑顔で返す。それから、何事も無かったかのように話を続けた。
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作者名：メビウス | 作成日時：2023年9月29日 23時
