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カラオケ特有の大音量。
その中で数人の歌声が耳に届く。
本当に全員いるんだ……、なんて少し驚いていると。
「あ！潔世一！」「あぁん！？」
「憎き宿敵“
途中、私達の存在に気付き、歌うのを中断した。
「いや別に……、たまたま近くにいたから……」
潔くんの言葉に私もコクリと頷く。
正直に言ってしまえば、出来るだけ争い事は起こしたくないんだけど……。
「あれ？愛空じゃん！」
向こうから聞こえた声に嫌な予感が芽生える。
なにせ、“
後から来た皆は口々に好戦的な言葉をぶつける。
まさかこのまま本当に喧嘩するんじゃ……。
本格的に焦っていると、オリヴァさんが口を開いた。
「よっしゃ。じゃあせっかくだし、晩飯でも賭けて……」
“ボウリング対決といきますか”
場所は変わり、ボウリング場に。
後ろでもう戦いの姿勢に入っている皆を一瞥しつつ、私はオリヴァさんと受付を続ける。
「何かすまんな。アンタ、あんまり争い事とか嫌いなタイプだろ？」
受付用紙に記入しながらオリヴァさんが不意に言った。
「まさか“
『……いえ、オリヴァさんのせいではないですよ。それに……、何だかんだ楽しそうなので、結果的に良かったと思います』
私の言葉にオリヴァさんは小さく笑い声を立てる。
「そりゃ、良かった。……天才ちゃんが知ったら何て言うだろうな」
後半は殆ど独り言の音量で、上手く聞き取れない。
少し気に掛かりつつも、私は受付用紙の記入を続けた。
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作者名：メビウス | 作成日時：2023年9月29日 23時
