感情を失った手毬花 5【ブルーロック】 (ページ32)

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カラオケセンターに入り、沢山のドアの間を進んでいると。

急に1つのドアが開き、そこから穏やかではない声が聞こえてくる。

「最低！誰この女！」「どーゆーつもりでデートとか言ったの！？」

同時に2人の女性が出てきた。

もう1人いたのか、部屋の中からも声がする。

「ちょ待ってよぉー。いいじゃん、3人で楽しめばさぁー」

手を掴まれた女性は、ものすごい勢いで手を払い除けて叫ぶ。

「触んなこの浮気クソ男！」「死ね！信じられない！」

もう1人の女性も怒った様子でその場を立ち去っていった。

それまではいいのだが、部屋の中に取り残された人が、私達の知る人間だったのだ。

黄色とネイビー色のオッドアイに、日本人離れした顔立ち。

「愛空！？」潔くんの言葉に、彼ーー、オリヴァさんはこちらの存在に気付く。

「痛ってぇ……。お？お前らおっす」

頬を押さえてることから、先刻の女性に叩かれたのだろう。
と、不意に私の方に視線を向けてきた。

「ん？青い監獄(ブルーロック)んとこのマネージャーちゃんもいるじゃん。もしかしてデート？」

『え……？デート、ではないと思いますけど……』

“デート”という言葉の意味を広くしてしまえば当てはまるのかもしれないけど……。

私の曖昧な返事にそっか、と頷き、続けて言った。

「お前らも休暇(オフ)か？U-20(こっち)もみんないるぜ」

あの天才ちゃんはいないけどな、と付け足す。

天才……、冴くんのことか。

私が1人で理解していると、オリヴァさんが部屋を出て向かいのドアを開けた。

「ほら」

私達が中を覗き込むとそこにはーー、ジャージを着たU-20の人達が集結していた。