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折角ゲームセンターに来たということもあり、クレーンゲームに挑戦することに。

大きなガラス張りの箱の中に大量のぬいぐるみが入っている。

私は興味津々で辺りを見ていると。

『……!』ある物に目が止まり、思わず固まった。

茶色のほっそりとしたフォルム。
丸っこい顔に備わった大きな黒い目。

それは正しく、イタチのぬいぐるみだった。

あまりにも凝視していたからか、横にいた凪くんに声を掛けられる。

「……あれ欲しいの?」

『え、あ、いや、可愛いなー、と思って見てただけで……』

慌てて私はそう言うと。

「……ふーん」凪くんはちらりと私を一瞥した後、いきなり手を引っ張られた。

どうしたの、と聞く間もなく、私が見ていたぬいぐるみのクレーンゲームの前に来た。

そして流れるようにお金を投入し、クレーンを動かし始めた。

私は一瞬でその動きに意識が向く。

クレーンは迷うことなくぬいぐるみへと手を伸ばしていき。

ガコンッ 音を立てて取り出し口からぬいぐるみが落ちてきた。

戸惑う私を他所に、彼は取り出し口に手を入れてぬいぐるみを手に取った。そして。

「はい」私に差し出される。

『え……、わ、私に?』

私が尋ねれば、逆に何で?という表情を浮かべて返される。

「これ欲しかったんでしょ?」

その言葉に、私はおずおずとぬいぐるみを受け取る。

ギュッと両手でその感触を確かめながら私は顔を上げた。

『えっと……、ありがとう、凪くん』

そう言って笑えば、凪くんは返事の代わりに頭を撫でてくる。

「……いつものお礼」

表情自体はいつも通りだけど、その言葉だけで彼の思いが鮮明に分かるような気がした。

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作者名:メビウス | 作成日時:2023年9月29日 23時

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