感情を失った手毬花 5【ブルーロック】 (ページ3)

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つい、2人のプレーに見とれてしまっていると。

それまで何ともないように見えた千切くんがーー、苦しそうに顔を歪めて倒れ込むように座った。

更に、先刻士道くんのシュートを止めた二子くんも、崩れるようにその場に座り込む。

千切くんは多分……、スタミナ切れ。二子くんは足首の捻挫だろう。

流石にそんな状況で負担を掛けたら間違いなく……壊れる。

案の定、絵心さんの指示によって、千切くんと二子くんが下げられーー。

代わって、玲王くんと氷織くんが上がった。

そこまではいい、のだが。

千切くんが戻ってきた瞬間、彼の顔を見て喉が詰まるのを感じた。

何故なら彼はーー、目に泪を浮かべていたから。

必死に泣くまいというように、歯を噛み締めていて。

その姿はいつもの彼からは想像できないものだった。

千切くんはサッカーベンチに腰掛け、右手で顔を覆った。

その隙間から、透明な雫が流れ落ちる。

咄嗟に感じた。悔しかったんだ、と。

ブルーロックに来てから再開したからまだ完全に調子が戻っていないとはいえ、スタミナ切れになってすごく、悔しいんだと思う。

私にはその感情を感じたことがない。それでもーー、私の胸には張り裂けそうなほどの悲しみがよぎった。

自然と、彼の方に近付く。そして彼にしか聞こえないほどの声量で言った。

『お疲れ様、千切くん。……よく頑張ったね』

すると、ほんの一瞬、彼の体の震えが大きくなった気がした。