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凛くんは今までのプレーとは真逆の動きを行い、とうとう、目の前にはオリヴァさんのみになった。
凛くんがゴールをすれば、間違いなく、
あと一歩……。私はギュッと、ズボンを握り締める。
オリヴァさんや途中で来た士道くんに邪魔されながらも、凛くんはーー、ボールをゴールへと蹴った。
彼の蹴ったボールはーー
ゴールポストに跳ね返った。
あ……、と喉から小さく声が漏れる。
ボールはスローモーションのようにゆっくりと宙へ舞う。
そしてーー、冴くんの元に渡った。
ーー残り、1分
U-20のカウンターに変わった瞬間、ベンチにいた雷市くんが叫んだ。
「戻れ“
その言葉に動かされるように私は皆の動きに一点を集中させた。
1秒も、目を逸らさないように。見逃したらきっと、後悔すると思ったから。
現在、ボールを持つ冴くんは、FLOW状態の凛くんと対峙していた。
計算して動く冴くんと、自己で動く凛くんがぶつかり合う。
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作者名:メビウス | 作成日時:2023年9月29日 23時