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ミーティングが終わり、後半戦がいよいよ始まろうとしている。
徐にU-20側を見ていると。
『……ん?』何やら見覚えのある姿があった。
あれは……、士道くんだ。
前半ではフィールド上に出ていなかったけど……、もしかして何か策があるのかな?
「士道がいる、いるな」『えっ……?』
直ぐ近くで声がして、ビクリと体が震えた。
気配が無かったから余計驚いてしまった……。
横を見ると、赤毛を三つ編みにした彼ーー、黒名くんがいた。
彼はチラリと私の方を見る。
「……もしかして驚かせたか?すまん、すまん」
『あ、ううん、大丈夫。……そういえば黒名くんって士道くんと同じチームだったよね?』
二次選考の、と尋ねる。
「ああ、だからどういう人間なのか、大体知ってると思う」
その言葉に、士道くんが黒名くん達と一緒に生活している姿を想像してみるも、全然予想が付かない。
私がいない時に、随分と騒ぎごとを起こしていたことも知っているし、多分大変だったろうな。
思わず苦笑いを浮かべる。
黒名くんは微かに目を細めて呟いた。
「だから……、Aが心配だ。士道がいつか怪我を負わせそうで」
心配、してくれてるんだ。
そのことに嬉しさを感じつつ、ニッコリ笑って答える。
『心配してくれてありがとう。だからそうならないようにするね』
すると、黒名くんはコク、と小さく頷き、「偉い、偉い」と褒めてもらった。
同い年なのに年上みたいだな、なんて感じていたのだった。
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作者名:メビウス | 作成日時:2023年9月29日 23時