ヒ カ リ【ar×ym】-2nd-

episode12 偽りは無しで ページ9

涼介side


あれ。俺、パニック起こして床に倒れこんで……



でも今いるのはベッドの上。



きっとひかが運んでくれたんだな。




まだ少しだけ重い体を起こした時、ひかが病室に入ってきた。



光「……あ。涼介。起きてたんだ」



なんかひか、いつもと違う。



目の奥は笑っていなくて、目は少し赤く腫れてる。



体にしっかり力が入っていなくて、足元もおぼつかない。




涼介「……ねぇひか疲れてない？ちゃんと休んでる？」



光「……俺は大丈夫。」



涼介「だってそんなにふらふらして、おかしいよ！」



光「大丈夫だってば……！！」



俺がひかの腕を掴もうとした時だった。




掴めたと思ったひかの腕はそこにはなくて。




空気を掴む感覚。




一度思考回路が停止して、ドサッという大きな音で現実に引き戻された。




涼介「……ひか！！！！」



ひかの体は病室の床に強く叩きつけられた。



さっきは目の赤みに気を取られて気がつかなかったけど、顔が青白くなっている。



涼介「ねぇ！ひか！きこえる？わかる？」




ひかの肩を強く叩くけど、反応はない。




どれほど溜め込んだんだろう。




患者の前ではいつでも明るいひかがここまでなるなんて。




ナースコールを押してから、他の先生が辿り着くまでの時間がやけに長く感じた。





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