episode20 記憶 ページ40
涼介side
それはあまりにも突然だった。
外出と言う名のお散歩から帰り、俺が温めたタオルで体を拭いてやり、ひと段落して談笑していたときだった。
談笑といっても俺の一方通行だけど。
大ちゃんは突然に口を、エサを求める金魚のようにパクパクし始めた。
声こそ出ていないが、その行為は俺の頭の警戒アラームを鳴らした。
涼介「大ちゃん?大ちゃん?わかる?大ちゃん?」
ただただ名前を呼んだ。
でも次第に目は上を向き、大ちゃんの全身は震えた。
もう彼の限界を意味した痙攣。
涼介「ひか!!!!きて!!!大ちゃんが!!」
ちっぽけなボタンについたスピーカーに何度も何度も叫んだ。
光「大ちゃん!!!分かるか!? 酸素あげるぞ。痙攣どめ急げ!!!」
今までに聞いたことのないくらい、ひかの鋭い声。
いつもは穏やかなひかからは想像も出来ないくらいに強い口調だった。
それだけ、大ちゃんが危険なのだとわかる。
涼介「大ちゃーんなんも怖くないよ。俺がいるからね」
痙攣が収まり、だらりとベッドから落ちた彼の手をぎゅっと握った。
涼介「1人じゃないよ。大丈夫。」
俺に対しても大ちゃんに対しても語りかけ続けた。
大ちゃんは強がるくせに1人になることだけは怖がったから。
八乙女「あと1時間、持つかどうか。」
処置を終え、少し俯いているひかの口から出たのは理解し難いものだった。
・
ねぇ嫌だよ大ちゃん。
置いていかないで。
また真っ暗闇になるの、?
僕にはまだ、大ちゃんというヒカリが必要なのに。
神様お願い。
あとちょっと。ほんの少しだけ時間をください。
だって俺まだなにも大ちゃんに恩返しできてない。
・
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なつめろ(プロフ) - 新作とともに読ませていただきました。本当にどちらも素晴らしい作品で涙が止まりませんでした。新作の方で涼介くんも前を向いて頑張っていることが知れてなんだか嬉しい気持ちになりました。これからも応援しています (2020年1月8日 0時) (レス) id: 23d01b0f83 (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - はっちゃんさん» そのような感想を頂けると書いたかいがあります、、( ; ; )最後まで読んでくださりありがとうございました! (2020年1月7日 17時) (レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
はっちゃん - 感動する小説やドラマ等を観ても泣きたくても泣けなかった私ですが、この作品ではすっごい大号泣しました…本当に面白くて泣けました。執筆お疲れ様でした。 (2020年1月7日 14時) (レス) id: 0d57913dc4 (このIDを非表示/違反報告)
ADaiDaijump(プロフ) - 感動です( ; ; ) (2019年12月26日 15時) (レス) id: 89dbc58fb6 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - 初めて読んだ時はまさかこうなるなんて思ってなかったので、実際の終わり方凄く感動して泣きました!あんなに元気だったんだよなぁって思いますよね。とても素敵な作品をありがとうございました!楽しませてもらいました! (2019年11月15日 21時) (レス) id: 5d53199746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむ | 作成日時:2019年4月11日 23時