episode19 思い出のカケラ ページ39
涼介side
涼介「大ちゃん外いけるよ！やったなぁ」
大ちゃんは、やったぁ！なんて声を出す代わりにただ瞬きを一つした。
涼介「じゃあ車椅子に移すからね。」
力が入らず、自分の体を支えきれない彼が崩れ落ちないようにしっかりと抱えて車椅子に移した。
前まで体格は大ちゃんのほうが大きかったのに。
いつからか俺でさえ、大ちゃんを抱えて移動させてあげられるようになった。
大ちゃんに繋がれた、彼の命を助ける管たちが絡まらないように配置してから、マスクをつけさせ、やっとの思いで病室を出た。
�牾阿帽圓���
なんていうのは普通の人だと遠くにお買い物なーんて思うかもだけど僕たちにとっての外の限界は屋上だった。
そう。僕たちの出会いの場所。
長い長いエレベーターを抜け、重いドアを開けると開けた土地。
何度も訪れた僕達の大切な場所。
君の記憶にはないであろうけど。
涼介「きれいだねぇ大ちゃん。」
開けた土地に響くのは俺が一方的に話しかける声と、規則的に音を出す大ちゃんにつながれた酸素ボンベだった。
シューーーッというこの虚しい音が俺の心を絞っていくみたいに苦しかった。
涼介と大ちゃん という関係でかつて見て、笑い合ったこの景色が、今や山田くんと大ちゃんという少しよそよそしい景色に変わってしまった。
大貴「…………ま………ら。」
酸素ボンベの音の合間をぬって聞こえてきたのは紛れもなく大ちゃんの声だった。
涼介「んー？どした大ちゃん。」
大貴「あ、………い……がと…」
その瞬間、俺の我慢が音を立てて崩れた。
もう涙を止めることが不可能だった。
俺は大ちゃんが後ろを向けないのをいいことに、しゃがみこんで洋服の裾を噛み締めながら必死に涙を堪えた。
�犧粘�まで笑っていてやろう��
そんなひかとの約束を破らぬように。
大貴「………や…まら……く？」
涼介「あっごめん急に目にゴミがね。」
そして何事も無かったかのようにまた彼の車椅子を押す。
あの日。俺が自ら命を投げ出そうとしたあの日。
その日から何もかもが今までの反対方向に動き始めた。
大ちゃんを中心として。
俺の変化の中心にはずっと大ちゃんがいた。
あの時、俺を助けてくれたのが君で本当によかった。
涼介「大ちゃん……だいすきだよ。」
俺の言葉に一瞬口角を上げたのはきっと間違いじゃないね。
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なつめろ(プロフ) - 新作とともに読ませていただきました。本当にどちらも素晴らしい作品で涙が止まりませんでした。新作の方で涼介くんも前を向いて頑張っていることが知れてなんだか嬉しい気持ちになりました。これからも応援しています (2020年1月8日 0時) (
レス) id: 23d01b0f83 (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - はっちゃんさん» そのような感想を頂けると書いたかいがあります、、（ ; ; ）最後まで読んでくださりありがとうございました！ (2020年1月7日 17時) (レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
はっちゃん - 感動する小説やドラマ等を観ても泣きたくても泣けなかった私ですが、この作品ではすっごい大号泣しました…本当に面白くて泣けました。執筆お疲れ様でした。 (2020年1月7日 14時) (レス) id: 0d57913dc4 (このIDを非表示/違反報告)
ADaiDaijump(プロフ) - 感動です（ ; ; ） (2019年12月26日 15時) (レス) id: 89dbc58fb6 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - 初めて読んだ時はまさかこうなるなんて思ってなかったので、実際の終わり方凄く感動して泣きました！あんなに元気だったんだよなぁって思いますよね。とても素敵な作品をありがとうございました！楽しませてもらいました！ (2019年11月15日 21時) (レス) id: 5d53199746 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あむ
| 作成日時：2019年4月11日 23時
