ヒ カ リ【ar×ym】-2nd-

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涼介side



涼介「ねぇ大ちゃん？嘘でしょ？」




おれは俯く大ちゃんを軽く覗き込むようにゆすぶった。




それでも、大ちゃんの泣き声ばかりが大きくなるばかり。




ひかは1度悲しそうな目をしてから、何かを決意したようなそんな目になった。




俺と大ちゃんの間にすっと入ったひか。





光「大貴くん？ごめんね。びっくりさせちゃったかな？」




大ちゃんは、少しして泣き止みゆっくりと首を横に振った。






光「はじめまして。今日から大貴くんの担当になりました。八乙女光です。」






どんなに辛い事だろう。




2度目のはじめましてなんて。




今までどんな時もそばに居続けたのはひかなのに。




それなのにひかは冷静を装って、大ちゃんと接した。




俺にはひかの悲しみなんて分からないけど、次は俺の番かもってちょっと怖くなった。






大貴「あ、りおか。だ……いき。」





大ちゃんはまだ俯いたままだけど、ひかにむかって自己紹介をした。





そして無事に点滴を終え、俺とひかは病室の外に出た。





涼介「ねぇ。ひか……？」





光「記憶障害だろうな。」




「これからどんどん色々な記憶が抜け落ちていくと思う」




「まいったな〜！俺が最初なんてなぁ？」




ひかは無理して俺に笑ってみせた。





こんな時まで医者でいなくてもいいんだよ。






そう言って抱きしめてあげたかったけど





そんな言葉は言えなかった。






同情みたいになる気がして。そして、ひかを忘れた大ちゃんを受け入れてしまうような気がして。






光「じゃ、俺、次検査入ってるから行くな。大ちゃんよろしく。」





そう言って足早に去っていった。







俺は追ってしまった。ひかの背中を。








そして見てしまったんだ。







処置室で1人、膝から崩れ落ちて泣くひかを。









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