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涼介side


目に涙を浮かべたひかはゆっくりと話し始めた。



光「大ちゃんの頭の中でまた腫瘍が大きくなってた……。」



この前手術を受けたばかりだと言うのに。



大ちゃんの右手を奪った手術だったのに。




俺はこみ上げてくる悔しさを唾を飲んで押し込んだ。




涼介「でもまた手術すればいいんだよね……?」




ひかは俯いて震えた声で答えた。




光「今の大ちゃんに手術を耐え抜く体力は無い……。」




涼介「じゃあ、薬。もっかいお薬しよう?大ちゃんきっと乗り越えてくれr……」



光「もう……!……もう効く薬はない。しかも転移が見つかってて薬でどうこうできる問題じゃないんだ。」



俺の語尾に被せるように声を上げたひか。




手術も薬もできないとしたら?



それが示すのはたった1つのみ。



俺にだって、どういうことかくらい分かる。




涼介「……もう何も手はないってこと…?」



ひかは力なく首を縦に振ってから、また俯いて、白いシーツの上に涙のシミを作った。




俯くひかの横顔がやけに真っ白で儚くて、これは現実なんだと思わせる。




さっきまで辛いことはハンブンコしよう?なんてカッコつけてたのに、今俺にそんな余裕はなくて。




俺はひかの肩を掴んでゆすぶった。




涼介「ねえ!なおしてよ!……だいちゃんのことなおして……ひかお医者さんでしょ、!!」




俺の目からはボロボロと涙が落ち、ひかの手に水たまりを作った。




ひかは涙をこぼすばかりで何も言葉は発さなかった。




俺の側から大ちゃんが消えてしまうことの現実味が増した気がした。




小さな部屋に俺とひかの嗚咽が入り混じって響いた。




涼介「いやだぁ……いやだよ。ひかぁ……うぅっ」





俺は膝から崩れ落ち、ベッドの脇にぺたりと座り込んだ。




やけにひんやりとした床の温度が俺の心に染み込んだ。





ねぇ神様。




どうして大ちゃんなの。




どうして彼がこんな目に合わなきゃならないの。





どうか、俺のたった1つのヒカリを連れていかないで。





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設定タグ:Hey!Say!JUMP , ありやま , 病系   
作品ジャンル:泣ける話
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なつめろ(プロフ) - 新作とともに読ませていただきました。本当にどちらも素晴らしい作品で涙が止まりませんでした。新作の方で涼介くんも前を向いて頑張っていることが知れてなんだか嬉しい気持ちになりました。これからも応援しています (2020年1月8日 0時) (レス) id: 23d01b0f83 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はっちゃんさん» そのような感想を頂けると書いたかいがあります、、( ; ; )最後まで読んでくださりありがとうございました! (2020年1月7日 17時) (レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
はっちゃん - 感動する小説やドラマ等を観ても泣きたくても泣けなかった私ですが、この作品ではすっごい大号泣しました…本当に面白くて泣けました。執筆お疲れ様でした。 (2020年1月7日 14時) (レス) id: 0d57913dc4 (このIDを非表示/違反報告)
ADaiDaijump(プロフ) - 感動です( ; ; ) (2019年12月26日 15時) (レス) id: 89dbc58fb6 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - 初めて読んだ時はまさかこうなるなんて思ってなかったので、実際の終わり方凄く感動して泣きました!あんなに元気だったんだよなぁって思いますよね。とても素敵な作品をありがとうございました!楽しませてもらいました! (2019年11月15日 21時) (レス) id: 5d53199746 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あむ | 作成日時:2019年4月11日 23時

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