君のヒーローになるには。vol.4

#156 莉「赤組なのになーくんを応援したくなったのはどうしてだろうか」← ページ21

ジェルside

《次は、1年生の障害物走です》

アナウンスがグラウンドに響き渡る。

今現在、僅差で白組は負けていた。

このままいけば、赤組が勝ってしまうのだろう。

そして......。


チラリと、何番目かのレーンを見つめる。

そこには深呼吸をするなーくんと殺意剥き出しのるぅと。

「(.........なーくん、頑張りや)」

俺はただただ心の中で願うのみ。

そして2人のレーンが1番前まで来た。

パァン！！


もう何度目かのその音。俯いていた顔を上げ、彼等を見る。

「(.........っ)」

るぅとは1歩前に飛び出ていて、走ってもないが俺は歯を食いしばった。

障害物も他の走者よりも何倍も早く潜り抜ける。


「なっ...なーくん！！頑張れぇぇぇ！！...って...へ？」

大声で叫ぶと、なーくんの様子が可笑しい事に気が付いた。

...障害物を難なくクリアしとる！？

あのなーくんが！？

しかもるぅとに追い付きそう！！？

口をあんぐり開けているとあっという間にゴール目前。

なーくんは明らかな全力疾走で冷静なるぅとに追い付く。

「......！？」

流石の彼でも驚いたようだった。

「紫森ぃぃぃぃ！！頑張れぇぇぇ！！」
「七星くん！！勝ってぇぇ！！」

「るぅとくんんんんん！！行けぇぇぇ！！」
「黄神！！！応援してるぞぉぉ！！！」

会場は一気に2人の一騎打ちへ。

俺も勿論大声を出して響かせる。


「頑張れ！！！！」


＿＿＿＿＿なーくん！！

.........と、ゴールテープを切る2人と終わりを告げる音。

「......今。どっちが勝った？」
「......ギリギリ過ぎて分かんない...」

放送席を見ると、ビデオ判定をしているようだ。


周りも固唾を飲んで見守る。


《......結果は》



「.........お願いや...」





《赤組の勝利です！》

その言葉に赤組の方から湧き上がる歓声。


俺達は拍手をしながらため息をついた。

呆れでも悔しさでもなく、緊張が解けたため息。


「......ごめん、皆」


息を切らしながら戻ってきたなーくんを、誰よりも早く抱き締める。


「っは...！？ジェルくん！！？」
「頑張ったでぇ...カッコよかったでなーくん...！！」

周りも「惜しかった」「凄かった」と褒め言葉の嵐。

「＿＿＿＿ありがと」

そんな様子を見て、なーくんは照れたような嬉しいような。そんな顔をして苦笑した。

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らっきーすとぷりめんばー！

るぅとくん＆ジェルくん

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