6話 ページ6
…
佳「Aよかったやん、
小瀧くん結婚してないみたいやで?」
肘で私の脇腹をつつきながら言う。
なんでそれを私に言うん?
それによかったって何よ、喜ぶ要素あります?
なーんて考えてるのに。
内心ほっ、と安堵したのは何でなんやろ。
望が結婚しとらんって分かっただけやで?
おかしいやん、自分。
「良かったも何も私には関係の無いことやし、
彼女いるかもしれんやん。」
そうだよ、関係なんて…ない…はずなのに。
なぜか心にモヤモヤが募っていく。
彼女がおるかもしれないことが分かったから?
自分で自分の気持ちがよく分からん。
頭の中ごちゃごちゃや。
「えええええええ、小瀧彼女すらいないん?」
びっくりした大きい声が聞こえたことでまた耳が望たちの会話に向いた。
タイミング良すぎやろ!
なんか仕掛けでもあんのか?
佳「ほら居ないってさ。」
望たちの様子をチラチラ伺いながら佳奈が言った。
いないって言われてもなにができるっていうねん。
そう思う反面なぜか違う感情が湧き上がってくる。
はぁ〜、この気持ちは消したはずやのにね。
こんなにも簡単に蘇ってきてまうなんて。
無茶苦茶や、自分。
あっていいんやろかこんなこと。
司「それでは新婦によるブーケトスです。
独身の女性の皆様中央にお集まり下さい。」
ナイスタイミング。
進行役のひと声で私たちの会話は中断された。
助かった〜。
このまま会話が続いてたら絶対話しかけなよ〜的な流れになってただろうから。
「嫌だ」って言ったところで3人に押し切られるんやろう。
そうなるの目に見えてるし。
だって3対1なんてさすがの私でもどうにもならん。
そうなったとして何話せばいいか分からんし、
微妙な空気が流れるだけや。
久しぶりに会ってそれはゴメンやし、
この場に相応しくないことはしたくない。
ブーケトスが始まってくれてほんまによかったわ。
ほっと一息つけるはずやった。
だけど自分がその該当者に当たることが頭からすっぽり抜け落ちてしまっていた私はアホとしか言いようがない。
…
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作者名:美麗 | 作成日時:2017年12月16日 1時