３０話 ページ30
…
真剣な表情をしている望がとても冗談で言ってるようには見えない。
結婚…？
2文字の意味を理解すれば途端に嬉しさがこみ上げてきて涙が溢れる。
望｢なんか言えや。｣
｢だって…さ…うれしくっ…て…。｣
望｢何泣いてんねん。｣
望が私の目尻に溜まった涙を親指で優しく拭ってくれる。
その仕草にまたきゅん、と胸が高鳴った。
このやろう、何回惚れさせれば気が済むんだ。
望｢返事は…？
いいえとか言われたら俺立ち直れる気しないんや
けど(笑)｣
そんなん決まってるやん。
考える余地なんてない。
｢はい、喜んでっ！｣
望｢うわっ。｣
勢いに任せて望の胸に飛び込めば2人でベッドに倒れ込んだ。
ちょっと勢い良すぎたかな？
なーんて思ったけど。
耳元でふふっ笑って望が嬉しそうに笑ってくれたのが聞こえたからもういいや。
幸せいっぱいの私は肝心の大事なことをこの時忘れていたんだ。
体を覆っていたのはただのシーツ1枚だけだったということを…。
首元に顔を寄せれば望の香りが広がる。
ふふ、大好き。
望｢お嬢さん、当たってますけど。｣
この一言でいっきに現実に引き戻された。
｢へ？｣
望｢それとも誘ってんの？｣
｢うわぁぁぁぁ、ごめん。
そういう意味じゃないねん。｣
急いでばっ、と手を…離せ…なかった。
力が緩んだ一瞬の隙にひっくり返されて視線の先には天井が。
抵抗する隙も与えられず両手を頭の上でまとめあげられてしまった。
身をよじったところでビクともしない。
そういえば私昨日から…。
｢ちょっと待って昨日からお風呂入ってないよ、
私。
汚いって！｣
望｢じゃあお風呂入ってからならOKってこと？｣
｢そういう意味で言ってるんじゃなくて…。｣
望｢てことは一緒に入りたいん？｣
｢違うし、腰も痛いから！｣
望｢動けんくなったら俺がお世話したる♡｣
語尾にハートマークついてるよ…。
.
.
.
このあとしばらく動けなくなったのは言うまでもないよね。
…
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作者名：美麗 | 作成日時：2017年12月16日 1時
