２９話 ページ29
…
｢え…。｣
ふと目を覚ましたら目の前に見覚えのない風景。
ここどこ…？
痛っ…動こうとすれば腰に鈍い痛みが広がった。
なんで、こんなに腰が…あっ。
その拍子に思い出した昨日の出来事。
何が起きたか、どんなことをしたか、全部がクリアに蘇ってきた。
うそ…昨日望と…。
切なそうに私の名前を呼ぶ余裕のない望の表情がフラッシュバックした。
顔が熱い。
鏡なんて見なくても分かる、私の顔きっと真っ赤や…。
恥ずかしい。
そんな時ガチャリと音を立ててドアが開いたと思ったら望が入ってきた。
何も身につけていないことに気づいてとっさにシーツを巻き付けて隠す。
望｢あ、A起きたか。
おはよう。｣
｢おはよう。｣
あまりにも自然に望が接してくるから拍子抜けしてしまった。
もしかして。
昨日のことなかったことにしようとしてるのかな…。
なんて、ふとそう思ってしまった。
｢あの…望。｣
望｢ん？｣
｢昨日のこと、酔った勢いとかじゃないよね…？｣
望｢あほか、手見てみろや。｣
｢え…。｣
言葉を失うのは無理もなかった。
なぜなら綺麗な指輪が私の左手薬指に輝いているから。
｢なんで…、いつの間に…。｣
望｢付き合うとかそういうまどろっこしいこと俺らに
もう要らんと思うねん。
そういう時間はもどかしいだけやし、
俺が愛すのは後にも先にもお前だけやから。｣
｢…｣
望｢子供の頃のこととか知りすぎくらい知ってるや
ろ？
もしお前が忘れてんなら2人でいっぱい話して埋
めていけばええ。
会えなかったこの2年もすぐに共有出来るはず
や。｣
｢…。｣
望｢ちゃう…？｣
｢ちゃうく…ないっ。｣
そう答えたら望はおもむろにベッドに座ってる私の隣に並んで手を持ち上げ指輪にそっとキスを落とした。
そして私を真っ直ぐに見据えて言った。
望｢だからさ、
高杉Aさん俺と結婚してくれませんか？｣
…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 136人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：美麗 | 作成日時：2017年12月16日 1時
