27話 ページ27
…
望に手を引かれるままついて行っているこの状況。
「はじめの日から送り狼になるつもりなんて無かった
んに…全部お前のせいやからな…。」なんてぶつぶつ言っているけど私にはよく分からん。
まぁ怒っている様子では無いからいいんかな…?
そう甘く考えていたことを後悔するのは望の家についてからのことやった。
ずんずんと進んでいく望についていくのは大変やったけどやっと気持ちが繋がったと思うと自然と頬が緩む。
足の長さが違うんだからもう少しゆっくり歩いて!なんて少しは思ったけど 笑
ふふ 笑
繋いだままの手が温かい。
「なに、ここどこなん?」
望にされるがままの状態でついてきたら到着したのは見知らぬマンションの一室の扉の前。
てっきり私の家に送ってくれるもんだと思っていたんやけど…。
望「ん、俺の新居。
越してきたばっかやから何もないけど入って
や。」
繋いでいた手が離されポケットから出した鍵でガチャリと音を立てて開いた扉に入るよう促される。
「お邪魔しまーす。
きやっ。」
促されるまま部屋に入った私の背中が壁に押し付けられたのと扉が閉まる音が同時に響く。
壁ドンやん…これ…。
「なにするん…んっ。」
靴を脱ぐより前に唇を塞がれる。
何度も何度も角度を変えて襲ってくる口付け。
ちゅっ、ちゅっ軽いリップ音が玄関という場所で反響し続ける。
ふっ、と力が抜けた瞬間唇をこじ開け望の舌が侵入してきて口内を犯していく。
さっきまでの軽いリップ音がぴちゃ、ぴちゃといやらしい水音に変わった。
今まで経験のした事の無い行為に戸惑って息をするタイミングすら分からない私。
苦しい…そう思ってとんとんと軽く胸板を叩くけど離れてくれる気配がまるでない。
そのうち酸欠っぽくなってくらくらし始める頭。
もう限界…さっきよりも強めに胸板を押し返すと銀の糸を繋げたままやっと離れた。
うわっ。
足に力が入らなくなった私はへなへなと壁を伝ってしゃがみこんでしまった。
はぁはぁと肩で息をする私とは裏腹に上目遣いで望を見れば乱れるどころかふっ、と笑う余裕っぷり。
ずるいよ…私だけ子供みたいやんか…。
…
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作者名:美麗 | 作成日時:2017年12月16日 1時