24話 望side ページ24
…
「好きや、お前のことがずっと好きやった。」
やっとだ、やっと君に伝えられた。
達成感を味わう俺とは裏腹にまるで何も無かったかのように固まったまま言葉を発さない腕の中の君。
なんかまずいことしたか?
それとも気持ち悪いとか思われてるとか?
いい方向に考えてくれてるかな?
緊張と期待が入り混じって心臓が熱をもって暴れ出す、ドクドクと。
背中越しに伝わってまうんじゃないかってくらい。
おそらく、伝わってしまっているだろうけど。
どんな結果でも受け入れようと決めて君の言葉を待つことにした。
その時間は1分にも1時間にも感じられた。
「嘘やろ…?」
やっと聞こえたと思った声は消えそうで。
まさか、こんな言葉が返ってくるとは。
拍子抜けしてしまって笑いそうになった。
俺の一世一代の告白を、冗談だと思っとるのかAは。
なんだか少しムカついてデコピンをお見舞いしてやった。
予想以上にいい音で痛かったかなと少し後悔したけど俺の気持ちに免じて勘弁してくれや。
どんな言い訳をするのかと思えば望の口からこんなこと出てくると思わなかったってさ。
自分でも思うよ、柄にでもないことをしてるって。
だからこそ、勇気が必要だったのに。
それが分からないと言うからつい緊張を返せ!なんて言ってしまった。
ごめん…ってうなだれて小さくなるA。
俺に嫌われたとか思ってんのかな?
そんなこと一生ないのに。
想像できんねん、年取っても好きやってお前に言ってる自分が。
目の前で勘違いしてるAは捨てられたイヌみたいで可愛いけど。
もう甘いムードもくそもないな 笑
なんかいつも通りの俺らって感じ。
それでいいのかもしれない。
なんか落ち着いて客観的に自分のこと見られる余裕が生まれてきたから。
まずは嫌われたって勘違いしてる誤解を解くとこからかな。
…
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作者名:美麗 | 作成日時:2017年12月16日 1時