２２話 ページ22
…
｢痛っ。｣
望｢当然や、痛くしたんやから。｣
背中の温もりが消えたと思ったらデコピンをお見舞いされた。
赤くなりそうなおでこに手を伸ばしてさする。
｢強すぎだよ、望。
力加減してよ一応女なんだから。｣
望｢やって。
原因はお前やもん。｣
｢だって望の口からそんな言葉出てくると思わんも
かったんやもん。｣
望｢もーう！これだからお前は。
俺がどんだけの勇気使ったと思ってんねん。｣
｢分かんない。｣
望｢分かんない！？
さっきまでの俺の緊張返せ！｣
｢ごめん…。｣
やっちゃった。
呆れられたっていうか完全に嫌われた。
もう終わりだな…と思った瞬間だった。
望｢そないな顔して嫌われたとか思ってるんやろ？｣
｢…。｣
望｢図星か。
そんなんで嫌いになるほど俺の気持ち軽ない
で？
何年お前を想ってると思う？
俺の片思い歴舐めんなや？｣
片思い歴？
それってつまり…そういうことだよね？
好きの2文字が脳内をチラつく。
｢いつから…？｣
望｢いつからなんかもう分からんよ。
その、あれや…気づいたらってやつ。
でもああAのこと好きだってちゃんと自覚し
たのは中学の卒業式かな。｣
｢中学の卒業式？｣
望｢なんやお前覚えてへんのか？｣
｢全く。｣
望｢まじか。
卒業式終わったあとさ一緒に帰ろうと思ってお前
探したんやけどさ見つからんくて。
やっとおったと思ったらその告白現場に遭遇した
んよ。｣
｢誰の？｣
望｢話の流れ的にお前以外おらんやろ 笑｣
｢確かに、そやね。｣
望｢ぷっ 笑
もういい、話を元に戻すわ。
その現場って言うのがちょうど好きです、付き合
って下さいってお前が言われてるとこでさ。
それ聞いたらさ他のやつにお前をとられたない、
もし付き合ったらどうしようって思ってしまって
いてもたってもいられんくなって。
ああそうか、俺Aのこと好きなんやって気づ
いた。｣
思い出した、あの時。
まさか望に見られていただなんて思いもしなかったわ。
…
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作者名：美麗 | 作成日時：2017年12月16日 1時
