３話 ページ3
…
｢いや…ね、まだ仕事が忙しいしさ…。｣
沈黙と私に集まる視線に耐えきれなくなりなんとか絞り出した言葉。
佳｢仕事が恋人とか言わないでよ？｣
見透かしたように私の顔をのぞき込む。
えっと…。
間髪入れずに返してきた佳奈に驚いて軽く面食らって静止してしまう。
この反応をしてしまったらもう認めたも同然。
今は仕事が恋人です〜って言ってあはは(笑)って笑ってやり過ごそうと思っていたのに。
見事に先回りされてしまった。
そして畳み掛けるようにこう付け加える。
佳｢そろそろ見つけないと一生一人のままになっちゃ
うよ？
いくら独り身の人が増えてるって言ってもさ。｣
分かってるよ、おばあちゃんになって一人はさすがに辛いと思うもん。
なにか起きない限りこのままずるずるといってしまいそうで怖い。
一人寂しく孤独死とかほんまに嫌や。
李｢でもさ、Aには小瀧くんがおるやろ？
何だかんだ最後には拾ってくれるんとちゃう？｣
突然何かをぱっ、と閃いたような顔をしたと思ったらこれだ。
なんでここで望がでてくるの……。
どこをどうやったらその発想にたどり着くのかちょっとどころか全然意味が分かりませんよ、李帆さん…。
あ、そうだねなんて言ってる夏樹さんも。
夏｢あ、噂をすれば小瀧くんじゃん。｣
夏樹が指さした先には友達に囲まれて談笑してる望の姿が。
シャンパングラス持ってスーツ姿…。
くっそ絵になるな。
キラキラオーラ放ちやがって。
キラキラ世界の王子様かっつーの。
悔しいけどかっこええわ。
聞こえないことをいいことに心の中で悪態をつく。
聞こえてたらただじゃすまんな。
あいつは昔からいつも楽しそうに大勢に囲まれてる中心人物。
あれ、そう言えば。
アメリカ行ったんやなかったっけ？
いつ帰ってきたんやろ。
今度日本に帰るくらい教えてくれてもいいのに。
そんな立場でもないけどさ。
なぜだかは分からないけど少し合わない間に壁が出来上がってしまったかのような寂しさを感じずにはいられなかった。
…
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作者名：美麗 | 作成日時：2017年12月16日 1時
