２０話 ページ20
…
｢望はなんも悪ないよ。
ごめん、急に怒鳴ったりして。
びっくりしたやろ？｣
何も無かったように笑っておどけてみせる。
望｢えっ、でも…。｣
｢いいんよ、だって事実やから 笑｣
望｢ちゃうねん、
別に俺だってこないなこと言いたいわけじゃ…｣
尻すぼみに声が小さくなっていって何言ってるのか全然分からん。
まあ、いいよね。
｢仕事…仕事言うてさ、
適当な言い訳して優先してきたから気づいたら周り
に追い越されてた。
そうこうしてるうちにもうすぐ30になってまうし。
気づいたら手遅れってやつ。
でもそれもこれもみーんな自分のせい。
こんなやつに誰も見向きもしないのは当たり前や。｣
でしょ？なんて望に同意を求めてみるけどそれは精一杯の強がりで。
一度止まってしまえばもう言葉が続かなくなってしまうと思ったから一気に言い切った。
なんだか泣きそう…。
あっという間に鼻の奥がツーンとして視界が滲み始める。
自分自身の言葉がこんなにも凶器になるとわね。
情けない…。
涙を引っ込めようと上を向いてスズっと鼻をすする。
澄んだ夜の空にいくつもの星が滲んで見えた。
こんな時でも星は輝いて見えるんや。
そうやな、なんて調子のいい返事が帰ってくるもんだと思って待ち構えていたのに。
突然道端で立ち止まる望に驚いて私も少し先で立ち止まる。
望｢じゃあ、お…がもらっ…る。｣
｢え？｣
望｢せやから、俺がお前のこと貰ったる！｣
文末に近づくにつれ熱が篭もり力強くなっていった言葉。
最初は途切れ途切れで何言ってるか分からなかったけど今度はようやくはっきり聞き取れた。
それは前触れもなく急に落とされるから頭で理解するまで時間がかかってしまった。
だけどそれと同時に浮かび上がる疑問。
それって、どういうこと…望…？
そういう意味なの？
そうじゃなくても私都合よく受け取ってまうよ？
…
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作者名：美麗 | 作成日時：2017年12月16日 1時
