１８話 ページ18
…
何も言わずに背を向けてしまったことに罪悪感があるけどそれでもそのまま歩みを進めてしまったのは単なる私の身勝手な理由。
あなたはきっとあの後｢じゃあ、戻るな。｣って
私にきっと言ったのだろうから。
そして私に背を向け去っていくはずだったのだから｡
それは嫌やっていう私のわがまま。
だって分かっていても寂しくなるやろ？
1人になってしまうわけやし。
視線の先には幸せな場所へと行く佳奈たち3人の姿が見えるに違いないから。
そんな感情をすぐ顔に出してしまう私は望に謝らせてしまうのだろう。
ごめん、と眉を下げた困った顔にさせてしまう。
そうなってしまうのならその前に…って。
ずんずん歩みを進めていても
頭の中を駆け巡るのは紛れもなく望のこと。
それをしないために歩いているのに。
まだ一緒に居たかった、のかな。
好き、だから？
ふふふ笑、そんなわけ…あるんや。
アホやな、私。
｢おい、A…！｣
背後から望の私を呼ぶ声が聞こえた気がした。
まさか…ね。
望の声なんて、聞こえるはずがない。
次へ行くみんなの輪へ戻っていったはずやから。
てことはとうとう都合のいい幻聴まで聞こえるようになったんか？
末期やん、私。
思わず自嘲気味な笑いが漏れる。
早く帰ろうと決め歩むスピードを上げようとすればバシッと背後からの肘を掴まれる。
まるで止まってくれと伝えるように。
まさか、そんなわけ。
望｢待てって言うてるやん。｣
それが誰かなんて振り向かずにも分かる少し不機嫌な声。
｢なんで来てるん、望。｣
顔なんか見なくても分かってしまう長年の仲。
私の背後に立っているのは紛れもなく望や。
望｢それはこっちのセリフや。
お前のこと送るいうてるのになんで俺を置いてくんや。｣
せっかく来てくれたのに｢なんで来てるんや｣なんて口から出た言葉には可愛さのかけらもない。
好きな人には素直になれないってホンマにこういうことやな…。
…
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作者名：美麗 | 作成日時：2017年12月16日 1時
