１７話 ページ17
…
望｢俺こいつ送ってくから大丈夫やで？｣
突然頭に手が置かれたと思ったら背後から望が現れた。
あんたはヒーローかってツッコミたくなるくらいのタイミング。
ヒーローは遅れて登場なんて言うやん？
まさに、これやで。
くっそ、好きだ。
少し見上げた先にある望の横顔。
いつかの日より頼もしく見えてかっこええ。
抑えてたはずなのに…な。
酔っているせいかいとも簡単に素直な感情が溢れ出す。
でもあんたさっき次も行くぞ〜言うて盛り上がってへんかったっけ？
私が間違えてなきゃあんたその中心にいた気するんやけど。
佳｢ほんまに?
小瀧くんA送ってくれるん？｣
望｢おん。｣
佳｢そんなら安心やな。｣
望｢な、なんでそないにニヤニヤしてんねん。
俺も家こっちなだけやねん。｣
夏｢そうなん〜？笑｣
望｢もう！なんやねん。
A行くで。｣
私が口開かない隙にどんどん話が進んでいってるし…。
心なしか望の顔が赤い。
昔から望の顔が赤くなる時は照れてる時か熱出した時のはずなんやけど…。
照れてるん？
李｢じゃあ帰るか。｣
佳｢Aまたランチでもしようや〜。｣
挨拶もそこそこに私たちに背中を向ける3人。
なんや急に素直に帰ることになったな。
でもニヤニヤしてる顔が一瞬見えた。
ランチでもしようやって言ってた時。
もしかして。
これはあれやな、あとで事情聴取されるパターン。
あのあとどうなったん？とか聞かれるやつ。
残念ながら期待したところでなにも起こらんと思うけどな。
｢じゃあね〜。｣と言いながら遠ざかっていく3人を尻目に私は背を向けた。
その3人に｢じゃあな〜。｣と両手を大きく振る望を置いて。
気を使ってくれたんやろ、きっとさ。
私が帰りたがってるのを察して。
かっこよかったで、ヒーローみたいで。
一瞬でも私のために動いてくれただけで嬉しかった｡
バイバイ。
望の気配を後に感じながら帰り道へ歩みを進めた。
…
…
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作者名：美麗 | 作成日時：2017年12月16日 1時
