１２話 ページ12
…
｢みんな静かに聞いてや。
そろそろこの店出ないとやから
みんな出る準備して〜。｣
その声を合図にみんなそれぞれ身支度を整え始め
ごちゃごちゃと慌ただしくなる。
ようやく結婚式の後の二次会的なものももうすぐ終わりを告げる。
長かった…疲れた…ていうのが今の正直な気持ち。
もちろん楽しかったけど
やっと終わるという開放感すら感じてしまっている私。
｢すごいな、それ。｣
｢私もびっくりやわ。｣
それっていうのは私の隣に常に置いてあった華やかなブーケ。
持ち帰るのはかさばるし、目立つから厄介なもの。
訪れた店は大人数やしどこか置く場所も無くて仕方なしに自分の隣に置く他なかった。
それに衝撃的な取り方をしてしまったもんやから話す人話す人の話の切り口がだいたいこれ。
式場では話せなかった人達も
どうやらその光景を見ていたらしく
明らかにこれが話のタネになってしまっていた。
そして次にきまってこう言う。
｢ブーケを取ったっていうことは
次はAの番ってことやん。｣って。
そこで終わればまだ良いんやけど加えて
｢Aの結婚式呼んでや〜。｣
なんて言われることもあった。
｢でもあれやで、
そんな予定これっぽっちもないで？｣
｢またまた〜
そういうこと言って〜ほんまはいるんやないの？｣
｢ほんまやで〜？｣
とりあえず笑いで収まるよう終えたはいいけど
話すのも疲れたし心労がデカい。
みんないい感じに酔ってるから絡みもめんどくさいんよね。
正直なところないもんはないんや！と言ってしまいたいくらいの時もあった。
私は同じような内容を何回も話したも同然やし
飽きたって思ったときも実際あった。
みんなが楽しんでるこの場を
壊しちゃならんと思ってどうにか踏みとどまれたからよかったけど笑
もし言ってしまっていたらどうなっていたんやろ。
…
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作者名：美麗 | 作成日時：2017年12月16日 1時
