深澤より目黒が好き。【紫】

＃心配と彼女 ページ10

Tatsuya side









辰「よし」









ビフォーアフターで紹介してほしいくらい見違えたクローゼット。


俺にしてはめちゃくちゃ頑張った。


夏なのにエアコン効いてないし、汗を流しながら頑張った甲斐があった。





エアコンが効いているリビングに向かうとAの姿はなかった。


雑誌買いに行ったのかな。


まぁすぐに帰ってくるだろうと思って冷蔵庫からコーラを取り出して一気に飲んだ。









.









辰「…遅いな、」









かれこれ1時間。


Aが帰ってくる気配はなく、ただだた時間が過ぎていくだけ。


俺はゲームをして暇をつぶしていたけど、さすがに心配になってきた。





ただ時間がかかっているだけなのか。


もしかしたらスーパーにも寄っているのかもしれない。





だけど変な男にナンパされたとか…


いや、ただのナンパだったらAはすぐ断るはず。





もしかして、…誘拐？


いやなわけ！


…でも、









辰「心配だ、」









ゲームをする気にもなれなくて、立ち上がった。


マスクと帽子を取って家から出た。





…何にもなかったらいいんだけど、





エレベーターが来て乗り込もうとした時、









「辰哉？」


辰「え、」


「どこか行くの？コンビニとか？」









両手いっぱいに荷物を抱えたAがエレベーターから降りてきた。


Aはいい買い物ができたのか満足気な顔。





…心配して損した、









辰「いや…Aが遅いから、見に行こうと思って、」


「あ、ごめんね。思ったより時間かかっちゃって」


辰「大丈夫。無事で安心した。荷物持つよ」


「ありがと」









野菜や肉が入ったエコバックを持ち、二人で家に帰った。





…二人で一緒に家に入るなんて久しぶりだな、









辰「荷物すごいけどどこ行ってたんだよ」


「本屋とスーパーと、あとコンビニ」


辰「コンビニ？」


「あ…辰哉の好きなアイス買ってあげようと思って。片付け、頑張ってたから」









照れた笑顔でそう言った。





俺のためだけにコンビニ寄ってアイス買ってきてくれたのか？


こんな暑いのに、









辰「…俺Aのこと好きだわ」


「…はいはい」









なんかもう、言葉に表せなくて。


ただ好きだし、俺のことよくわかってくれてる。









「アイスはご飯の後ね」









好きとか言ったらそうやって照れ隠ししようとするのも、俺は全部わかってる。









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