深澤より目黒が好き。【紫】

＃旦那と嫁 ページ27

You side









辰「あぁぁ…よかったぁ…」









プロポーズが成功して気持ちが軽くなったのか机に伏せた辰哉。





私の左手の薬指にはキラキラと輝く指輪。


その指輪が目に入るたび、涙が溢れそうになる。









「…あの、本当に私でいいの？」


辰「今更？」









机に顔を付けたまま顔だけをこっちに向けて辰哉が言った。









「私で支えられるのかな、って…」









もうオッケーしちゃったのに、今更不安になってきて。





支えられる自信がないっていうか…









辰「Aは家にいてくれるだけでいいから。別に仕事辞めたっていいんだよ？」


「それは申し訳ないよ」


辰「俺が支える。Aのご飯毎日食べたいし、Aと毎日一緒に寝たい」


「いつものことじゃん」


辰「うん、まぁ…俺の子供産んでくれるって言ったし！」


「辰哉だけの子供じゃないよ」









あぁ言えばこう言う！と怒りながらまた机に伏せてしまった。









辰「可愛くないな」


「うん、可愛くないよ」


辰「あぁぁぁぁ！！可愛いって！！」









騒がしい辰哉は放っておいて、食器を片付け始めた。









辰「ねぇ、結婚してくれるよね？」


「するする」


辰「いや軽いって！」


「親に挨拶に行かないと」


辰「もう顔見知りじゃん！何回も会ったし！」


「まぁまぁ。婚姻届は当分後だよ」


辰「えぇ」









さっきと態度が全然違うんだけど、と抱きつこうとする辰哉をしっかりかわした。





私たちは同棲してるし、変わるのは彼氏彼女の関係から夫婦になるだけの話。


いや、めちゃくちゃ変わるな。


辰哉のこと「あなた」とか呼んじゃったり…！？


あー、想像できない。









辰「これからは「俺の嫁は〜」とか言うわけでしょ！？うわぁ、嫁かぁ。なんかいいな」


「私の旦那ってことか」


辰「いい！！旦那って響きめっちゃいい！」


「じゃあずっと旦那って呼んであげようか？」


辰「え」


「旦那、皿洗っといてね」


辰「やっぱりやだ！」









関係性の名前が変わるだけで、こうゆうやり取りはいつまで経っても無くならないだろう。





それは私たちらしくていいよね。









「辰哉、ってずっと呼んであげる」


辰「子供ができても？」


「うん」


辰「じゃあ俺もA、ってずっと呼ぶ！」









.

＃報告と嫁→←あとがき

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す