君とあまい恋を。【紫】 (ページ41)

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Aside

「な、名前？」

辰哉「そう。俺はAちゃんのこと名前で呼んでるでしょ？Aちゃんは俺のことずっと苗字だから呼んで欲しいなって」

男の子を名前で呼んだことない私にはハードルが高すぎるよ…。

あ、ラウールくんは別だけど。

「そ、それしかないの？」

辰哉「うん」

他のこともないかなって思ったけどまさかのそれだけ。

「あのっ、ちょっと待ってもらっていい？呼べるように頑張るから、」

辰哉「ふはっ笑いいよ」

笑われちゃったけど、いいかな。

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そのあともお店を回ったりタピオカを食べたりして時間を潰した。

ショッピングモールから家に帰る途中、私は名前を呼ぶタイミングを見計らっていた。

うーっ、どうしよいつ言おう…。

電車の中でも呼べなかったしもうすぐ家に着いちゃう。

よし、勇気を出して、

「たっ、辰哉くん、今日は楽しかったね！」

い、言えた！よかったぁ。

辰哉「あ、やっと呼んでくれた」

「ご、ごめんね。時間かけちゃって」

辰哉「だいじょーぶ、結局呼んでくれたし」

急かすわけでもなく、優しく言ってくれて本当に優しい彼氏だなと毎回思わされる。

ニコニコしていると、

辰哉「Aちゃんキスしていい？」

「…えっ？あっ、えっ、？」

今なんて、

辰哉「キス、していい？」

もう一度言われ周りをキョロキョロする。

「だめ、です、」

外でするとか恥ずかしすぎるし、ここ私の家の前だし、家族に見られちゃったらどうするの！？

恥ずかしすぎて気絶しちゃうよ…。

辰哉「ごめんね」

「えっ、えっ、」

ゆっくりと辰哉くんの顔が近づいてくる。

体が硬直して動かないしどうしたらいいのかわからないからとっさに目を瞑る。

すると、一瞬だけ唇に柔らかい感触が。

「…っ、」

恥ずかしくって顔を下に向ける。

辰哉「ごめん。Aちゃんが嫌がることはしたくなかったけど我慢できなくて」

「だだだ、大丈夫…、」

すごい動揺してるけど…。

あぁ、辰哉くんとキスしちゃった…。

辰哉「じゃあね、ばいばい」

手をヒラヒラさせながら帰って行った辰哉くん。

「ばい、ばい」

届いてないとは思うけど一応返す。

やっぱり辰哉くんと付き合うと、あまい。

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