君とあまい恋を。【紫】 (ページ14)

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辰哉side

A「深澤くん、」

そう俺の名前をぎこちなく呼ぶ彼女。

彼女のことを好きになるのには時間はかからなかった。

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入学式の時、たまたま彼女のことを見かけたことがあった。

その時からかわいい子だなとは思っていた。

たまに見かけることはあったけど、1年生のときはAちゃんは2組、俺は7組であまり関わることもなかった。

そして2年生のとき、初めて話した。

制服も校則をきちんと守っていて。

礼儀正しくて。

いつもニコニコしていて。

そんな彼女のことを次第に好きになっていった。

俺と早野が話しているとき、彼女少しムッ、っとした表情を見せた。

もしかしてヤキモチ焼いてくれたのかななんて。

俺と話している早野に対してか、それとも、早野を取られたから俺に対して怒ってるのかなとも思ったけど。

早野にヤキモチやいてくれてたらいいな。

俺がチョコあげたり、お茶を買ってあげたりしたときもちゃんと、

A「ありがとう」

と、言ってくれた。

お礼をしてくれるだけでも嬉しかったのに、

菜緒「Aがお弁当作ってきてくれるって」

早野から聞いた。

Aちゃんが俺にお弁当を作ってきてくれる、と。

いつもパンとか食堂で済ましてる俺にとってお弁当はありがたかった。

早めにお礼とかしときたいなと思って、

「Aちゃんの電話番号教えてくれね？」

と、早野に頼んだ。

菜緒「はいはい。でもなんで自分で聞かないかね」

渋々教えてくれた。

早速家に帰り、電話をかけた。

なかなか出ないから、早野に違う電話番号教えられたかな、なんて思っていると、

『もし、もし』

「あ、Aちゃん？」

『うん』

良かった、出てくれた。

「よかった、早野に違う電話番号教えられたかと思った」

『ご、ごめんね？ちょっと遅れちゃって…、』

「ううん、だいじょーぶ。Aちゃんの声聞けたから」

自分でも大胆なこと言ったなとは思った。

困らせちゃうかなって思ったけど、本心だったからまぁいっか、って。

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