君とあまい恋を。【紫】 (ページ11)

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Aside

今は複雑な気持ち。

決して、深澤くんからの電話が嫌なわけではない。

これははたして出るべきなのか…。

いや、出るべきでしかない！出ないと嫌われてしまう！

考えすぎかもしれないけど…。

何コールしたかわからないけど、時間が経っているのは確か。

早く出ないとっ！

「もし、もし」

『あ、Aちゃん？』

「うん」

『よかった、早野に違う電話番号教えられたかと思った』

私が出るの遅かったから勘違いしそうになったんだ。

私は謝った。

「ご、ごめんね？ちょっと遅れちゃって…、」

『ううん、だいじょーぶ。Aちゃんの声聞けたから』

なんで深澤くんは私をこんなにドキドキさせてくるんだろう。

"Aちゃんの声聞けたから"って。

『あ、そーだ。明日お弁当作ってきてくれるの？』

うわっ、すっかりそのこと忘れちゃってた…。

「あ、うん…、」

『マジでうれしいんだけど。おれいっつもパンとかだからさ』

『Aちゃん料理上手なの？』

「自分ではわかんないけど…、弁当は自分で作ってて…、」

『へぇ～、すごいね』

「いやいや…、」

褒められて素直に喜んでしまう自分がいる。

あ、そうだ。

「私の連絡先知りたかったってほんと？」

菜緒がそう言ってたけど本当だと思えなくて、本人に聞いてみた。

『あぁ…、まぁ、うん、ほんと』

一瞬ためらったような気がしたけど本当だったんだ。

「そっか」

シーン、と気まずい雰囲気が流れた。

何か話題を、と思っていると、

『Aちゃん、』

「は、はいっ」

急に名前を呼ばれて、ビックリしてしまった。

なんか改まっちゃったし。

『せっかくだからさ、明日一緒に食べようよ』

「えっ、」

深澤くんに食事のお誘いをされてしまった。

昼休憩の話だけど。

『嫌？』

「ううん、嫌じゃ、ない、」

『じゃあ、自販機の近くにしよ。あそこなら人少ないし、ゆっくり食べれるし』

人が少ない自販機って、前深澤くんにお茶を買ってもらったところか。

「わかった」

『じゃあ、明日ね』

「うん、ばいばい」

プチッ、と電話が切れた。

お昼も一緒に食べれるなんて私は幸せ者だ…。

明日のために今日は早く寝よう、そう思った。

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