先生と私の夢物語【3年A組】

1年B組 ページ3

クラスは1年B組。
担任は武智大和先生。
クラスメイトに知り合いはいる訳がなく…
自分の席に座ると文庫本を開く。




すると、隣の席の女の子が声をかけてきた。




香『私、宇佐美香帆
アンタは?』

『……渡海…春瑚…』

香『……ふぅーん』




聞いておいて興味無さそうにする?
声に出さずに心の中で思うだけ。




香『……そーいえば、アンタは父親とか母親来てないの?
入学式なのに』

『………そんなこと気にするんですか?
兄が来てましたよ…
ものすごーく場違いな兄が…
まあ、兄は忙しい人なので…式だけでて帰りましたけど』

香『…………』




人との会話が…苦手すぎて早く終わってくれとさえ思ってしまった。
もうこの日から…私は接し方を間違えていたらしい。




次の日、学校に行くと
みんなが私から目を逸らした。
慣れっこだから大丈夫だけどさ…
なんだか早かったなぁ…
中学の時は無視が始まったのが入学から5日後、
悪戯や暴力に発展していったのが1週間後だったんだけど…




『……………』




既に机が汚されていた。
"気持ち悪い"、"人形ちゃん"、"学校来るな"
という罵詈雑言が書き連なっていた。
これも慣れっこだ。
何でもないように席について文庫本を開く。
すると隣の宇佐美さんから舌打ちが聞こえた。




休み時間になると…




香『ねえ、渡海さんって笑えないの?』

『えっ……』

｢いっつも無表情で冷たい顔して
クールとでも言いたいのかって感じ笑｣

『………いや……これが普通だから…』


ﾊﾞｼｯ!!


香『普通?どこが?
叩かれて表情変わらない奴のどこが普通なの』




あー……今叩かれた?
でもごめんね?
いちいち相手にしてたら
疲れちゃうから…。




『………これが私の普通なんだよ』

香『おかしいんじゃないの?』

『……私は人と話すのも苦手だし
人と一緒に過ごすのも…苦手だから』

｢はぁ?
だったら来んなよ、学校になんか｣

『……それは無理』

｢ああ?｣

『兄との約束だからね…』

香『ふっ……ブラコンかよ』

｢気持ち悪い…笑｣

『………なんて言われたっていいよ
それに……私は今まで家族以外に誰にも理解してもらえなかったから
期待してない…』

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