先生と私の夢物語【3年A組】

水泳部の真壁くん ページ15

放課後になり、
教室掃除を今日も1人でやっている。
今日は、掃除をしていると
忘れ物を取りに来た水泳部の真壁くんと遭遇してしまった。
私の姿を捉えた瞬間、教室内を見回していて
おそらく、他の人達がいないことに驚いているんだろう。




『…………』




それも無視して黙々と机を運ぶ作業を続ける。
真壁くんは自分の席に行くと
机の中からノートを取り出して鞄へとしまっていた。
すると……何も言わずに真壁くんは残っている机を運び出した。
私と同様…黙々と…。




『…………』

翔『……あのさ…』




突然真壁くんが口を開いたと思ったら…
廊下から声が掛かる。
宇佐美さん達だ。




香『あれー?
真壁、掃除当番じゃないでしょ?』

翔『……宇佐美…』

｢真壁、部活に行かなきゃなのにねぇ…｣

｢宇佐美何してんの｣

香『あ、見て?
真壁が机運んでるからさー』

｢え、マジで?｣

翔『ちょっと待って!!』

『…………あーあ……見つかっちゃったー』

翔『!!』

『私が無理矢理手伝わせてたの
でももういいや、見つかったし…
ほら、行きなよ』




私なんかのせいで目をつけられちゃいけない…
こう言うしかないでしょ…




翔『っ……』

｢ほら、帰ろーぜ真壁
部活早く行かなきゃ、坪井に怒られるぞー｣

香『わかってるよね、真壁』

翔『何?』

｢渡海に関わったら…真壁だって目つけられるって事だよ｣

翔『っ………』




ほらね…
大体そんなこと言い出すと思ったよ…。
さっさと終わらせよー…
後ろに運んでいた机を全部前に運び
後ろを掃除して…机を元通りに運び並べる。
黒板を綺麗にして、全員の机を拭いて
それから自分の机の落書きを消す。




『………ごめんねー…こんなに汚しちゃって』




私だって綺麗な机で勉強したいよ。
呆れて溜息しか出てこない。
昨日より効率よく出来たのか
1人でも掃除が早く終わった。
でも、美術室へと向かう足は
かなり重かった。




考えたけど…自分の未来が描けない。
何がしたいのかも分からない。
どうせ死ぬかもしれない…
そんな私が……未来なんて…。

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