第６話 行きつけの店 ページ6
彼女と別れてから近くのカフェでランチをとり、２．３ヵ所観光すると、待ち合わせの時間が迫ってきた。
「そろそろ、行くか···」
約束した公園に向かうと、仕事帰りの親に連れられて遊んでいた子供たちが、友達と明日の約束をしているところだった。
「このベンチか···」
彼女が指定したベンチに座り、明日はどこに行こうかとガイドブックを開くと、１０分も経たないうちに彼女はまた小走りで···今度は俺から去るのではなく近づいてきた。
少し息を切らした彼女は、教科書が詰まったような大きいリュックを背負いラブラドールレトリバーを連れていた。
「お待たせして、すいません···」
「いや、俺も来たところだから」
「あの··· この子も一緒でもいいですか？」
彼女は、隣でぴったりと寄り添うようにお座りをしているレトリバーに、視線を向けた。
「あ、うん。 俺も犬好きだし」
「そうですか··· よかった···」
「店、決まってるのかな？」
「はい··· この子もいるので、いつも行くお店なんですけど··· いいですか？」
「いいよ。 じゃあ、行こうか」
「はい···」
美術館を出たあとに行ったところの感想を彼女に聞いてもらいながら１０分ほど歩くと、隣のワイン専門店がっやていると思われるカフェに着いた。
「ここ？」
「···はい」
客は地元の人ばかりのようで、観光客は来ないローカルの店のようだった。
彼女は店主と顔見知りのようで、一言二言話をすると、案内される前にテラス席に座った。
「···何、食べますか···？」
と言われてもな···
ピザくらいはわかるけど、イタリア語の手書きで細かく書いてあるメニューは、何が何だかわからなかった。
「ん〜。わからないから、君のお勧めでいいよ」
異国での行動とはいえ、女性との食事で男として格好悪いことしてるなと苦笑い混じりで答えると、彼女も申し訳なさそうに苦笑いをした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Miyu | 作成日時：2020年9月24日 11時
