第48話 後輩の告白 ページ48
--- プツン ---
あのとき聞こえた音を、俺は気づかないふりをした。
父さんや母さんに心配をかけたくなかったし、きちんと話せばソミンはわかってくれると思ってた。
俺とソミンは、人生を共にしている。
だから、時間はたくさんある。
いくらでも時間をかけることはできるし、時間がかかっても乗り越えられると思っていた…
打ち合わせのために事務所に行くと、珍しい奴から声をかけられた。
「ヒョン、お疲れさまです♪」
「お疲れ…」
Planetのジュンか…
あいつから声をかけられるなんて、珍しいな…
後輩グループのPlanetは、今韓国で１番勢いのあるグループだった。
ただ、ジュンは、一言でいえば問題児だった。
男の先輩にはマウントを取りたがるし、気に入った女の子は必ずものにする。
隠すこともしないから、当然スキャンダルも多く、いつもワイドショーを賑わせていた。
なのになぜか、『恋愛に対してコソコソせず情熱的なところがいい』と、グループ内で１・２位を争うほど女性人気が高く、正直、事務所もジュンの扱いには手を焼いてきた。
「ヒョン、今年の日本活動は終わったんですか」
「あぁ」
今さら俺にマウントをとることもないだろうと、俺は適当に返事をしていた。
「じゃあ、しばらくはこっちにいるんですよね?!」
「あぁ…」
「じゃあ、いつソミンと離婚してくれるんですか？」
「はぁ?!!(驚) 今、何て言った？(怒)」
「いつ離婚してくれるのか聞いたんですけど」
「離婚なんてするわけないだろ。
からかうのもいい加減にしろ」
「からかってなんかないですよ(笑)
ソミンが言えないって言うから、俺が言ってるんです。
ソミン、俺の子を妊娠してるんです。
早く離婚してくださいよ」
「ソミンが妊娠？ なら、俺の子だろ。
お前、何言ってるんだ…(怒)」
「ヒョン、ソミンが妊娠してること知らなかったでしょ？
ヒョンの子じゃないからソミンは言えないんですよ」
「…じゃあ、お前の子でもないかもしれないじゃないか」
「ん〜、その可能性はなくはないかも(笑)」
「お前…(怒)」
「でも、ヒョンの子じゃないのは１００％確実です。
ヒョン、俺本気です。ソミンに生んで欲しいと思ってます」
「・・・」
「ということで、早く離婚届けにサインしてくださいね♪」
ジュンは呆然と立ちすくむ俺の肩をポンと叩いて歩いていった。
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作者名：Miyu | 作成日時：2020年9月24日 11時
