第38話 膝の手術 ページ38
ヒョンが精力的にソロ活動をするなか、俺は病室で白い天井を見つめていた…
事務所がいくつかのTV出演の話を持ってきてくれたけど、俺はそれを断って入院することにした。
事務所は難色を示したけど、理由を話すと 『先を見据えて』 ということで
了承してくれた。
ここ数年、俺の膝はボロボロだった。
悲鳴を上げ、限界がきている状態だった。
ライブ中は痛み止めも打っているし、アドレナリンも出てる。
何より、ファンに楽しんでもらいたい… ファンを失望させたくない…
この思いで、何とか最後まで乗り切れた。
それでも、３日連続公演の後は、歩けなく足を引きずることもあった。
ここ数年は、ライブ中にウインクをすることやハートを作ることが多くなった。
ライブ中は気分も上がるし、長い活動の中でそれなりにファンサービスもできるようになった。
ライブの自然な流れの中のことだし、ファンも喜んでくれるから大層なことをしてるなんて意識はない。
でも、あとから見返すと、痛みを悟られないためとはいえ、柄にもないことをしたと思ってしまう…
膝を手術しても、この先いつまで踊れるかはわからない。
でも、活動が制限され時間ができた今のうちに、自由に活動できるようになるときに備えて
少しでも、できることをやっておきたかった…
ソミンは付き添いたがったけど、新型ウィルスのせいで病院は面会や付き添いを断っていた。
正直、俺にとっては好都合だった。
おそらく退院したら、１人の時間は無くなる…
この先の仕事のこと、この先の人生のことを１人でじっくり考えたかった。
白い天井を見ながら、この先のことをぼんやり考えていたとき、まさかAも病室で１人白い天井を見つめていたなんて、このときの俺は、知る由もなかった…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Miyu | 作成日時：2020年9月24日 11時
