第32話 親友への報告：３ ページ32
どのくらい時間が経ったんだろう…
俺がやっとタオルから顔を上げると、キュヒョンは黙ってワインを飲んでいた。
「俺さぁ、お前はAと結婚すると思ってた…」
キュヒョンがポツリとしゃべりだした。
「見合いをしてなかったとしても、Aとは結婚できなかったさ…」
「何で？ 親に反対されたからか？ 説得しようとは思わなかったのか？」
「こじれた上で結婚したって、気まずさは残るだろ？
それに結婚は、本人同士だけのことじゃないからな…」
「やれやれ… 本家の長男はつらいねぇ〜」
「茶化すなよ…」
「お前、恋愛体質っていうかロマンチストなところがあるくせに、結婚に関しては超現実主義なんだな」
「うるさい…」
「お前さぁ〜、今まで自分の欲望よりも周りに気を配って…
自分のことよりも、チームを優先して…
お前はいつ、自分の思いを通したり、自分のやりたいことをやるわけ？」
「・・・」
「Aがどう思ってるかなんて俺にはわからないけどさ、辛くないわけないと思うぞ。
お前だって、本心はそう思ってるんだろ？」
「・・・」
「お前… ソミンと結婚するって決めたんだろ？」
「あぁ、決めたさ…
この先の人生共に生きて、男としてソミンを守っていくって決めたんだ…」
「じゃあ、それで突き進め。 ソミンを幸せにしてやれ。
それがせめてものAへの礼儀だと思うぞ」
「Aへの礼儀なんて関係ない…
俺は、ソミンと家庭を築くって決めたんだ…」
「そっか…じゃあ、頑張れよ…ちゃんと、お前も幸せになれよ…」
「・・・」
「でもなぁ…このワインが飲めなくなるのは、残念だなぁ〜」
Aがイタリアで買ってくるワインを気に入っていたキュヒョンは、グラスを軽く回し
ゆらゆら揺れるワインを見つめていた…
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作者名：Miyu | 作成日時：2020年9月24日 11時
