紫陽花物語～絆・Changmin ～ (ページ30)

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第30話　親友への報告：１ページ30

愛する人と別れるのは悲しい…

言葉にすれば、その一言で済んでしまうけど

心に穴が開いたような… 片腕をもがれたような…

そんな喪失感と痛みを感じていた。

全部自分が蒔いた種で自分が悪いのは、理性では解っている。

でもこの時の俺は、自分の辛さにしか目が行かず、

Aがどういう思いでどうしているかに、思いを馳せることができなかった。

少しでも楽になりたくて、少しでも軽くなりたくて、俺は親友のキュヒョンの家に向かった。

「おう、どうした？」

同じ年で、同じ仕事で、同じマンションに住んでいて…

こいつは日記の次に、俺のことを知ってくれていた…

「Aと別れた…」

「はぁ!!? お前、まだ別れてなかったのかよ?!!」

「・・・」

「でもまぁ、お前の気持ちもわからなくもないけどなぁ

あの子、いい子だったもんな…」

・・・お前の今までの彼女の中で、１番だ!! ・・・

というくらい、キュヒョンはAのことを気に入っていた。

キュヒョンがAをそんなに気に入っていたのには、大きな理由があった。

お互い彼女ができると紹介しあっていたけど、大抵の彼女は

「初めまして」の次は、「握手してください」「写真いいですか？」「歌を聴かせてください」と続く。

ソミンも、キュヒョンに会わせたり事務所に連れて行ったときには

「握手してください」「写真いいですか？」

と、目に入る芸能人に声をかけていた。

Aは俺が東方神起だということを知らなかったくらいだから、芸能界にはあまり興味がなく疎かった。

それでも、たとえファンじゃなくても、芸能人と会えば写真を撮りたがったり、サインをもらおうとするのが

人間の心理だろう。

でもAは、誰に会ってもそれをしなかった。