第12話 神様とは ページ12
「宗教ってなんのためにあるかって考えたら、要は安心感を得ることなんじゃないかなって思うんです」
「安心感？」
「辛いこととか苦しいことから抜け出したい、死んだあとはどうなるんだろうとか、不安なことから解放されたいっていうか・・・」
「・・・」
「神様や仏様を信じることで安心感や心が穏やかになれるなら、それでいいと思うんです。
でも、私はこうしてチャンミンさんとお話しているときや、友達や家族といるときや、好きなことを勉強してるとき・・・ 安心できたり心が穏やかになったり幸せを感じたりすることができることがたくさんあるから・・・
今は、そう思える人やものが私にとっての神様でいいかなって・・・
セレソも私にとっての神様だよ♪」
そう言って、Aがセレソをギュッと抱きしめると、セレソはAの頬をペロッとなめた。
「そっか…Aみたいに思えたら、宗教での争いなんて起きないだろうな」
「そんな大層なことじゃないですよ(汗・恥)」
「ハハハ(笑) でも、そっかぁ〜、カトリックじゃないと難しいのかぁ〜」
「なれないことはないと思います。
でも、私の場合は日本人でもあるし…」
「えっ!!? 日本人だとなれないのか?!!(驚)」
「日本人というか… アジア人に西洋の宗教美術史の何が解るって言う人もいて(苦笑)」
「そうなんだ・・・」
「でも、好きなことを勉強できてるだけでも幸せです♪」
「・・・」
俺もヨーロッパには撮影で何度も行ったことがある。
パリでコンサートをしたこともある。
でもそれは「客」として行ったわけで、差別を感じたことなんて、これっぽっちもなかった。
でもAのように向こうに住んで向こうの文化に入っていくのは、こっちで思い描くような華やかなものだけじゃないのかもしれないな…
くじけそうになるとき、Aは何をよりどころにしてるんだろう。
セレソ？ 友達？ 家族？ キュレーターになる夢？
その中に俺も入っていたらいいのに…
振り返れば、もうこのときには、俺はAに恋していたんだ…
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作者名：Miyu | 作成日時：2020年9月24日 11時
