第11話 彼女の夢 ページ11
Aが俺に慣れてくるにつれて、メッセージが電話になり、お互い時間があるときはSkypeでワインを片手に話をした。
とはいえ、Skypeになるまで時間はかかったけど、実は俺も人見知りをするタイプだから、このペースはありがたかった。
話す時間に比例して、Aは俺に心を開くようになった。
Aが俺に素を見せるようになるのに比例して、Aのことを知っていくのも
心地よくて楽しくて…そして嬉しかった…
Aの専門はルネサンスを中心とした宗教美術史。
ひょんなことからある有名な美術館の館長をしていた人の家にステイすることになり
高校のときからイタリアで勉強しているらしい。
大学に入るとイタリアだけじゃなく、フランス・オランダ・オーストリアetc あちこちの美術館で研修やセミナーを受けていて、将来はバチカン美術館かウフィツィ美術館のキュレーターになるのが夢だと言っていた。
「でも…それが叶うのは夢のまた夢かも(苦笑)」
パソコンの画面の向こうのAは、甘えてくるセレソの背をなでていた。
「そうなのか？」
「ん〜、私、カトリックじゃないし…」
「カトリックじゃないとなれないのか？」
「洗礼を受けることを勧められたこともあったけど
カトリックになると、客観的に見れなくなりそうで…」
「そうなんだ…」
「それに、神様を信じてない私がカトリックになるのも失礼だと思うし…」
「神を信じてないのか？」
「信じてないわけじゃないんですけど…
宗教的に言えば、神様より仏様の方がなじみがあるかも」
「まぁ、そうかもな」
「でも、どちらも信じてるかと聞かれるときかれるとちょっと違うかも…」
「違う？」
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作者名：Miyu | 作成日時：2020年9月24日 11時
