紫陽花物語～絆・Changmin ～第３章 (ページ29)

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第129話　花嫁姿ページ29

ハルの新学期を来週に控えたある日、俺たちはウェディングもできる、とある隠れ家レストランに来ていた。

プロポーズしたとき結婚を遠慮したAは案の定、結婚式をあげることも遠慮した。

でも、俺が見たいというのももちろんだけど、１人娘の花嫁姿をAの両親に見せたかった。

それに、「結婚しました」という言葉だけじゃなく、目に見える形にすることで、安心してもらいたかった。

結婚式と言っても、俺もAも大げさなものにしたくなかったから、互いの家族とイタリアのパパーとマンマを招待しただけのこじんまりとしたものにした。

新婦入場を待つ俺に、この日のためにAが選んだスーツを着たハルが話しかけてきた。

「チャンミンさん、緊張してる？」

「ん？まぁ～な」

「ふ～ん。チャンミンさん」

「何だよ」

「タキシード、似合うね」

「そうか？」

「さすが、スターだね」

「からかうなよ…(怒)」

「ハハハ(笑) ねぇ、でもさぁ、どうして僕がここにいるの？」

普通なら神父が立つ祭壇にいるハルは、居心地が悪そうだった。

「ここにも、神父いるんでしょ？頼めばよかったのに。

何で、僕がやるの？」

「後でわかるさ」

「やっぱり教えてくれないんだ(怒) あっ!! ママだ!!」

マンマのピアノ演奏にのせて、お父さんにエスコートされたAが、ゆっくりこっちに歩いてきた。

「ママ、きれい…」

「・・・」

お母さんと選んだ純白のドレスに身を包んだAの姿に、俺は美術館で初めて会ったときAに恋に落ちた感覚が蘇った…

祭壇に辿り着いたAはお父さんの手を離れ、俺の隣に立った。

「ママ、キレイ… すごく綺麗だよ、ママ」

「ありがとう、ハル…(照)」

「えっと、じゃあ、これを読めばいいんだよね…」

ハルは、ポケットから俺たちが用意した式の進行が書いてある紙を取りだした。

「えっと… んっんっ!!

参列者の皆さん、只今より、シム・チャンミン、藤森Aの結婚式を始めます!!」

ハルの声が、会場に響いた…