大好きだよ、ご主人様【うらたぬき】

初めての ページ20

今日はケースに入ってどこかお出かけ


今日はどこだろう、またお友だちができるのかな、楽しみ


ケースの間から見えたのはたくさんの動物たち、特に犬と猫が多い


でも、みんなの表情はどこか暗くて、怯えて震えてる子たちもいる


その空気に飲まれるかのように私も怖くなる、そして連動するかのように最悪の事態を想定する


まさか、お別れ？さようならしなきゃいけないの？ご主人様ともう会えなくなるの？嫌だよ、私はご主人様と一緒に居たいよ



怖くて声を出すと、ケースを開けた隙間からご主人様の手が入ってくる



「大丈夫、怖くねぇから すぐ終わる」


安心させるようないつもの優しい手つきで私の頭を撫でてくれる



最近分かってきたのは、ご主人様が「大丈夫」って言ったときは、安心させようとしてくれている言葉なんだということ



当然私はご主人様のことを信じるよ、ただ、この空気はちょっと怖いな



「Aちゃーん、診察室へどうぞ」



誰かが私の名前を呼ぶと、ご主人様は私と一緒にどこかの部屋に入った



ケースから出されてそこに居たのは、男の人



「今日は2回目のワクチン接種ですよね、早速始めましょうか」



すると男の人はお尻の方を拭き取り始めた



これ、覚えがある



すごくすごく痛いやつだ



ご主人様、助けて！これ、チクってしてすっごく痛いの



ひっきりなしに泣き始めると、ご主人様も痛そうな表情をする



「すぐ終わるから、頑張ろうな」



ご主人様が前足を押さえて、男の人がしっぽを押さえながらあの痛い感覚がきた



痛い！痛いよ！辛いよ、ご主人様



それが終わるとご主人様は抱っこしてくれて、いっぱいいっぱい褒めてくれた



よく頑張った、偉いなっていっぱい撫でてくれた



痛かったけど、ご主人様がこんなに褒めてくれるなら頑張って良かったかなって思えた



その後家に帰ると私がお水を飲み終えたあと抱っこしてくれた



「これでワクチン接種終わったのはいいけど獣医さん女の人に変えてもらおうか、先生とはいえ男にA触られるのは嫌だな、しかもお尻なんて、うん、そうしよう」

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