私の死神さん ー最終話ー ページ26
いつかAがジャングルジムの上で海を眺めていた高台の公園。
オールマイトとの戦闘により半壊した街並みと遠くに見える穏やかな海。
月の光が反射して水面に光の道を作っていた。
腕に抱えたAはもう目を覚ます事はないだろう。
それでもまだ微かに残るその体温を手放す気にはなれなかった。
「…死神、か…」
Aを拾って、顔を見るなりそう言われた事を思い出す。
あながち間違いでは無かったのかも知れないな。
あの場で拾わなくても、もしかしたら死んでいた可能性もあったが、手を差し伸べてしまったのは紛れも無く自分自身だ。
「なぁA…嘘ついたら針千本飲ますんじゃなかったのかよ」
必ず戻って来い、そう約束した筈なのにAは戻って来なかった。
一緒に過ごした時間はほんの僅かな時だったのに、全てが鮮明に蘇る。
思い浮かぶのは笑った顔ばかりだ。
毎日毎日、俺にとっては繰り返しの日常でも、Aにとっては違ったようで、見逃すくらい小さい事にもいちいち感動したり喜んだり。
もう一度その笑顔が見たかった。
「死柄木さん」と名前を呼んで嬉しそうに笑うその顔を。
腕に抱いたAは月の光を浴びて、まるで作り物のように透き通る肌は青白い。
ただ寝ているだけのような穏やかな顔で、今にも目を開きそうなのに。
指先でその頬に触れてみる。
もう、体温なんて感じない。
無性に悲しくなった。涙なんてとっくの昔に尽きたと思っていたのに。
目の前のAの顔が滲んで見えない。
まだそんな心が残っていたのかと、頭の片隅で思いながら最後に、強く抱きしめた。
少しづつ崩壊していくAの身体。
夜の闇にチリになって溶けて行く。ハラハラ散るその破片は夜風に煽られざぁ、と消えた。
「…A、おやすみ…」
一番綺麗に海が見えるその場所に、死柄木は一輪の花を置いた。
“願わくば 君に永遠の幸福を”
終
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miyavi1006(プロフ) - かげりんさん» かげりんさん再びコメントありがとうございます。感動出来ましたか？！嬉しいお言葉ありがとうございます＞＜ 新作の方も良かったらよろしくお願いします！ (2017年11月16日 23時) (
レス) id: e11f488514 (このIDを非表示/違反報告)
かげりん - この作品自分でもびっくりするくらい泣けました。感動を、ありがとうございました!!(泣)そして、完結、おめでとうございます。次回作、期待していますね♪ (2017年11月16日 3時) (レス) id: 01dfe19ebe (このIDを非表示/違反報告)
miyavi1006(プロフ) - 化け猫さん» 化け猫さん、再びコメントありがとうございます。そして最後まで読んで頂いて本当に嬉しいです。泣けましたか？笑 ちょっとウルっと来る事狙ってたので良かったです← また良ければ次回、よろしくお願いしますね！ (2017年11月13日 18時) (レス) id: e11f488514 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫(プロフ) - 完結おめどうございます！！ほんとーにおもしろかったです！！泣きながら見させていただきました！！次回作も期待しております！！ (2017年11月13日 17時) (レス) id: 8b31c3a625 (このIDを非表示/違反報告)
miyavi1006(プロフ) - 千花さん» 千花さん初めまして。コメントありがとうございます！ちょっと駆け足気味でしたが、終わりました…最後まで読んで頂けてとても嬉しいです。また次回作でも良ければ楽しんでいって下さいね。 (2017年11月13日 17時) (レス) id: e11f488514 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miyavi | 作成日時：2017年10月19日 7時
