私の死神さん ー10ー ページ11
肩を強く掴まれて、ガクリと揺さぶられた。
気が付けばそこは、あの部屋ではなくて死柄木の家。
夢…
「A、」
「あ…、っ…」
上手く呼吸が出来ない。
ひゅ、と喉が鳴る。じっとりと体が汗ばんで髪が顔や首に張り付いて気持ちがわるい。
夢を見て、うなされていたんだと理解するまで少し時間がかかったけれど、死柄木が何度も名前を呼んでくれて、今ここに居るのは‘おとうさん’ではない事に酷く安心感を覚えた。
「…っ」
「落ち着けよ」
「ごめんなさい…あ、…それ…私…が？」
呼吸を整え見上げた死柄木の目元に小さな切り傷があった。じわりと血が滲んでいる。
夢の中で抵抗したのを鮮明に覚えている。その手がナイフに変わって居た事も。
慌てて自分の手を見ると、指先がナイフになっていた。
「っ、ごめんなさい。ごめんなさいっ…」
ダメ。早く元に戻って。
自分の手のひらに食い込むのを無視して、早く元に戻って、と祈った。
死柄木だけは、傷付けたくない。私に唯一生きる希望を与えてくれた人なのに。
私に「役に立て」と言ってくれた人なのに。
早く、早く。
「…やめろ、A」
ぎゅっと握った手を、死柄木はその乾いた大きな手で開かせた。
手のひらから血が流れる。滴り落ちた赤い雫が白いワンピースを染めた。
「…ごめんなさい…」
「別に気にしてない。それにお前は悪くない、ただの事故だ」
言いながら、死柄木は目元の小さな傷を指先で擦り、滲んだ血を拭った。
そうして手近なタオルを取り、Aの両手に巻き付ける。簡単な止血方法だが、とりあえずはこれで押さえる他はない。
「…あとで、黒霧に診てもらえ」
「ありがと…」
「お前の‘個性’はそれだったか」
「うん…指だけじゃなくて、どこでもナイフにできる…」
「それで‘アイツら’を殺ったのか？」
「そうだよ」
どうりでニュースでは一切凶器が見付からないと言っていた訳だ。
凶器はAそのものか。
「やっぱり、お前は使えるかもなぁ…イイもん拾った」
「…私、役に立てる？」
「あぁ。必ずな」
笑った死柄木が、Aでは無い何処か遠くを見ながら「使えるなぁ」と呟く。
初めて見るその表情に、何故だか胸がぎゅっと苦しくなった。
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miyavi1006(プロフ) - かげりんさん» かげりんさん再びコメントありがとうございます。感動出来ましたか？！嬉しいお言葉ありがとうございます＞＜ 新作の方も良かったらよろしくお願いします！ (2017年11月16日 23時) (
レス) id: e11f488514 (このIDを非表示/違反報告)
かげりん - この作品自分でもびっくりするくらい泣けました。感動を、ありがとうございました!!(泣)そして、完結、おめでとうございます。次回作、期待していますね♪ (2017年11月16日 3時) (レス) id: 01dfe19ebe (このIDを非表示/違反報告)
miyavi1006(プロフ) - 化け猫さん» 化け猫さん、再びコメントありがとうございます。そして最後まで読んで頂いて本当に嬉しいです。泣けましたか？笑 ちょっとウルっと来る事狙ってたので良かったです← また良ければ次回、よろしくお願いしますね！ (2017年11月13日 18時) (レス) id: e11f488514 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫(プロフ) - 完結おめどうございます！！ほんとーにおもしろかったです！！泣きながら見させていただきました！！次回作も期待しております！！ (2017年11月13日 17時) (レス) id: 8b31c3a625 (このIDを非表示/違反報告)
miyavi1006(プロフ) - 千花さん» 千花さん初めまして。コメントありがとうございます！ちょっと駆け足気味でしたが、終わりました…最後まで読んで頂けてとても嬉しいです。また次回作でも良ければ楽しんでいって下さいね。 (2017年11月13日 17時) (レス) id: e11f488514 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：miyavi | 作成日時：2017年10月19日 7時
