笑うしかない(笑)Ⅰ【BTS】 (ページ32)

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ユンギside

窓から外を眺めてはしゃぐAにつられて俺も外を覗いた

太陽を反射してキラキラと輝く海

綺麗に敷き詰められた山々

｢あ！あれホソガ達かなぁ！？｣

おーいと手をふるA

ここからじゃ見えねえだろ

えへへと笑うAを見ているとある違和感に気づいた

フリルの着いたブラウスに凡そ似合わないスポーティなリストバンド

袖に隠れてあまり見えなかったが手を振ると同時に露になっていた

こんなのいつもつけてたっけ？

手首を痛めたって話も素振りもなかったし

考えれば考えるほど嫌な方に偏った

SG｢なぁ、なんか隠してんの｣

気づいたら手首を掴んでいた

SG｢リストバンド、前までつけてなかったよな？｣

｢……｣

SG｢手首痛めてたっけ？｣

｢……｣

SG｢なんで答えないんだよ｣

何も言わずに俯いているA

そんな姿に俺にも言えないことなのかとイラつく

リストバンドをずらすと1番当たって欲しくない答えが出てきた

SG｢…ね、これどういうこと｣

｢………｣

見ただけじゃあまり分からないが少し深く

一筋の線が痛々しく刻まれていた

明らかにそれは事故ではなく故意的に出来たもの

Aの雰囲気が変わったのは気づいてた

前より痩せたのも、笑うようになったのも、明るくなったのも

ファンからしたら良いことなのかもしれない

だけど俺からすれば、痩せこけてしまったし、いつも貼り付けたような笑顔だし、明るく陽気に話すものの肝心の本心や自分のことは何も話さない

どうしてもいい意味に捉えられなかった

そんな中で見つけたコレ

SG｢…俺らってそんなに頼りないか、｣

｢ヒョン…ち、違うんです…これ、あの俺がやったんじゃなくて｣

どう見ても故意的にやったんだろ、そう怒鳴りたくなるのを必死に抑えた

｢…お願いだから、他のみんなには言わないでください…お願い…します…｣

俺のイラつきが伝わったのか怯えたようにそういうA

観覧車ももう終わりが近づいていた

スタッフがドアを開ける

｢…ヒョン降りよ｣

観覧車から降りても何も話すことなく、遊園地内でリピートしている歌が虚しく流れていた

｢…、なんでヒョン泣きそうなの？｣

ふとAにそう言われて気がついた

そうか、俺怒ってる訳でもなくイラついてる訳でもなく、弟が本心を隠していることが悲しいんだ