35 :汚れずの好中球と魅惑のアホ毛 ページ36
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「あ、白血球の皆さんこんにちは!」
ガラガラと台車を引いて挨拶したのは不憫なドジっ子赤血球。
今日も地図に行き先が書いてある。
足の毛細血管と書いてあるがここは気管支だ。全くもって真反対の位置である。
「くっ、クロさん!?み、耳が!それに尻尾も!?」
「...ああ、ネコアレルゲン貪食したらこうなった」
興味深そうにネコ耳を覗き込み、キラキラとした目を向ける赤血球AE3803番。
その目も向けられるのは苦手だから気になるが、それよりも僕は赤血球のある部分に現在釘付けになっていた。
みょんみょんと生き物のように動く頭の帽子からはみ出たアホ毛。
それは右往左往に動き、合わせて僕の目線もアホ毛を追ってしまう。
う、うずうずする。何だろうこれ、体が疼く。
「〜っ...にゃっ」
とうとう、僕は我慢出来ずそれにじゃれるように手で弾いた。
ぺしっ、なんて音と共に赤血球のアホ毛がみょんみょんと動く。
「えっ」
「...あっ」
呆けた表情の赤血球を見てはっと気が付いても、もう遅い。
周りを見れば白血球のあの4人、そして赤血球からの目線は僕に注がれていた。
「……。」
目線に耐えられなくて頭を隠すようにくるりと丸まった僕。
その様子に今更のように「可愛かったから大丈夫!」なんて何のフォローも出来ていない2048番の言葉に軽いパンチを繰り出したのは言うまでもない事だ。
そしてどさくさに紛れてシロは僕の頭を撫でてくる。
あの時避けた事は謝るから、もうもふらないで欲しい。
視界の先でハクが地面に倒れ伏してた気がするけど知らない。「尊い...」なんて聞こえてきた気がするけど空耳にする。
挙句の果てにはシロの手だけでなく、手の小ささから恐らく赤血球も僕の頭を撫でている気がする。
丸まったまま、僕はげんなりとしながら小声で呟いた。
一体、何時になったら戻るんだ...。と。
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海藍 - 凄い、、、 (5月21日 23時) (レス) id: 34bd24184d (このIDを非表示/違反報告)
仁兎 - 鶴丸国永が出てニヤニヤしてしまった…えへへ (2020年7月12日 10時) (レス) id: 01ef15654f (このIDを非表示/違反報告)
まじかるれいん☆ - あああもう展開分かっちゃったふふふふ← (2018年12月30日 21時) (レス) id: 9a258b9a35 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空みや(プロフ) - ぷらんくとん。さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただきありがとうございます♪このあとの話もお楽しみに! (2018年9月17日 22時) (レス) id: 7eb3a685bd (このIDを非表示/違反報告)
ぷらんくとん。 - 更新楽しみにしてます! (2018年9月17日 11時) (レス) id: 4eb7efbf3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼空みや | 作成日時:2018年8月21日 3時