23 :汚れずの好中球と扱えないナイフ ページ24
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僕の服にはナイフがない。
ポケットはあっても、そこに入っているのは大抵応急処置セットや菓子類である。
「へー!背中のナイフポケットも全部応急処置用のやつが入ってる!」
ハクが僕の背中にあるナイフポケットの中身を不躾に漁りながら興味深そうに言う。
「クロは俺達の本来の武器が使えないのか?」
シロは首を傾げながら僕を見下ろす。
僕の方が身長低いからってか。
はいはい、殺意殺意(後にシロの事は思い切り睨み付けておいた)。
「扱えない...訳じゃないけど、好中球課から全面的に禁止されてる」
「え、何で?ナイフでなんかやらかしちゃった?」
「さあね」
ピンポーンッ♪
『!!』
曖昧な返事を返すと、2人のレセプターが軽快に鳴った。
そのレセプターの音でシロとハクは勢いよく一斉に同じ方向に向く。なんて息ピッタリなんだろう。
僕も正直に言うと反応したはしたけど、同じ方向には向いていない。決して。
「オラァァァ抗原何処だァァァ!!」
「うおおおお!!」
バタバタと遊走路を使ってあっという間にどこかへ走ってしまった2人。
静かになった空間に1人取り残されたような奇妙な感覚に陥った僕は、暇だしどこかに行くか。と考えながらぶらぶらと樹状さんの所へ歩き出した。
「ナイフ、か...」
自分の手のひらを見つめ、握ったり開いたりを繰り返す。
あの白血球が使うナイフは扱えない事は無い。無いけど、何故かその時の記憶がぼんやりしてしまって、はっきりと思い出せなくなるのだ。
ナイフを持った僕は一体どうなっているのかと問うた事もあるが、全員閉口してしまって、どうなっているのかなんて聞き出せそうにない。
「うーん...まあ、いいか」
樹状さんの所に行って、またクッキーとお茶を貰おう。
後に僕にとっての大事件が起こるなんて事は、この時の僕は知る由も無かったのだった。
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海藍 - 凄い、、、 (5月21日 23時) (レス) id: 34bd24184d (このIDを非表示/違反報告)
仁兎 - 鶴丸国永が出てニヤニヤしてしまった…えへへ (2020年7月12日 10時) (レス) id: 01ef15654f (このIDを非表示/違反報告)
まじかるれいん☆ - あああもう展開分かっちゃったふふふふ← (2018年12月30日 21時) (レス) id: 9a258b9a35 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空みや(プロフ) - ぷらんくとん。さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただきありがとうございます♪このあとの話もお楽しみに! (2018年9月17日 22時) (レス) id: 7eb3a685bd (このIDを非表示/違反報告)
ぷらんくとん。 - 更新楽しみにしてます! (2018年9月17日 11時) (レス) id: 4eb7efbf3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼空みや | 作成日時:2018年8月21日 3時