17 :汚れずの好中球と道案内 ページ18
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「ここの分かれ道、分かりにくいけどちゃんと周り見ればどっちがどっちの足なのか書いてあるから。あの看板とか」
「あっ、ほんとだ!メモしなきゃ...!」
この赤血球は、新人なのかな。
初めて知った!とキラキラした顔で足の分かれ道を見ている所を見てるとなんだかこの先が思いやられる。
「で、ここが表皮細胞に繋がるエスカレーターね」
「1度ならず2度までも...!道を案内していただいてありがとうございました!」
足の表皮細胞に繋がるエスカレーターの手前で僕は止まり、一応赤血球の姿が見えなくなるまで見送ろうと思いながら彼女を見ていると、彼女は何度もこちらを見ながら延々と「ありがとうございまーす!」と言っている。
お願いだからちゃんと前見て。ああほら、ぶつかった!
さて、自分の仕事も終わったしと踵を返すと、次は何処へ行こうかと考えた。
ここは足に近い場所だし、ここからなら腸内フローラが1番近いか。
乳酸菌、元気にしてるかな。最近行ってなかったからから楽しみだ。
目的地を決めた所で、早速血管の中を歩き出した僕はふと周りを見た。
遊走路を使わないで体内を歩いていると、色んな発見がある。
一般細胞の日常を垣間見たり、血小板がフィブリンを洗っていたり、マクロファージさんが笑顔で細菌をぐつぐつと煮込んでいたり。
遊走路はいかに早く抗原の元へ辿り着けるかが優先されているから、こういう景色は血管の中を歩いていかなきゃ見ることは出来ないのだ。
...
僕も白血球と言えば白血球だが、他の奴らと違って小柄だし、髪の色も黒い。
一度最前線から背を向けた僕に、再びその戦場に立つ資格など、あるわけが無いのだ。
そう自嘲気味に考えていると、体の異常が起こった時に鳴るサイレンが突然けたたましく鳴り始めた。
反射的に身を強ばらせた僕はアナウンスに耳を傾ける。
「ただいま右足に小規模の擦り傷、左足に中規模の創傷を確認、付近の免疫細胞は現場へ急行してください。繰り返します...」
...足、だって?
『足の表皮細胞の方に行きたいんですが...』
『道を案内していただいてありがとうございました!』
足には、あの赤血球が。
「...クソがッ!」
ぎりりと刀を強く握り、僕は柄にも無く走り出した。
...間に合え、
間に合えっ!!
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海藍 - 凄い、、、 (5月21日 23時) (レス) id: 34bd24184d (このIDを非表示/違反報告)
仁兎 - 鶴丸国永が出てニヤニヤしてしまった…えへへ (2020年7月12日 10時) (レス) id: 01ef15654f (このIDを非表示/違反報告)
まじかるれいん☆ - あああもう展開分かっちゃったふふふふ← (2018年12月30日 21時) (レス) id: 9a258b9a35 (このIDを非表示/違反報告)
蒼空みや(プロフ) - ぷらんくとん。さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていただきありがとうございます♪このあとの話もお楽しみに! (2018年9月17日 22時) (レス) id: 7eb3a685bd (このIDを非表示/違反報告)
ぷらんくとん。 - 更新楽しみにしてます! (2018年9月17日 11時) (レス) id: 4eb7efbf3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼空みや | 作成日時:2018年8月21日 3時